( ^ω^)「ヒーローはレッド」を譲れないようです(1

 

1 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/29() 21:59:16.12 ID:5PN97jbn0

天下一ブーン会用投下作品です。

 

長めですが、お付き合い下さい。

 

 

2 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/29() 22:00:56.39 ID:5PN97jbn0

 

 賢者の英知を結集した魔術。

 

 猛者の鍛錬を象徴した武術。

 

 学者の研究を昇華した科学。

 

 愚者の欲望を独占した金銭。

 

 虐殺の手段にも、繁栄のためにも、それらは利用された。

 国々は争い、占領、略奪、支配を繰り返す。

 戦場を形作るのも、これらの要素となった。

 魔力が、凶刃が、火薬が、裏切が、多くの血を流した。

 

 数百にも分割された大地には、いつしか数ヶ国のみが君臨することとなる。

 互いに牽制しあった結果、和平条約が結ばれる。

 つかの間の平和が訪れた。

 

 

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29() 22:02:25.50 ID:NbdTQ+Dc0

 

しえーん

 

 

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29() 22:02:32.67 ID:83ffB3qvO

 

 

 

そして物語は終焉を迎えるのであった。

 

 

                   完

 

 

5 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/29() 22:02:56.81 ID:5PN97jbn0

 

 

 

 そう、つかの間の平和。

 

 表面上の平和。

 

 些細な弾みで覆されるような。

 

 

 

 

 

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29() 22:03:16.27 ID:W4L5OQiu0

 

   /.   ノ、i.|i     、、         ヽ

  i    | .\ヾヽ、___ヾヽヾ        |

  |   i 、ヽ_ヽ、_i  , / `__,;―'-i     |

  i  ,'i/ `,ニ=ミ`-、ヾ三''―-―' /    .|

   i | |' ;'((   ,;/ '~ ゛  `;)" c ミ     i.

   .i i.| ' ,||  i| ._ _-i    ||:i   | -  ヽ、   /    /   /  | _|_  // ̄7l l _|_

   丿 `| ((  __i__`'    (( ;   // i |i. _|  _|    /   |  |  / \/    |  ―――

  /    i ||  i` - -` i    ノノ  'i / | ヽ     |    |  /    |   丿 _/  /     丿

  'ノ  .. i ))  '--、_`7   ((   , 'i ノノ  ヽ

 ノ     Y  `--  "    ))  ノ ""i    ヽ

      ノヽ、       ノノ  _/   i     \

 

 

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29() 22:05:50.32 ID:O7dOHqjYO

 

支援だ

 

 

8 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/29() 22:06:31.53 ID:5PN97jbn0

 

 

 

( ^ω^)「ヒーローはレッド」を譲れないようです

 

 

 

 

 

9 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/29() 22:10:02.09 ID:5PN97jbn0

 

 完全なる光と影のモノクロに包まれた城。

 広大な城内は、単に温度のものだけではない冷たさを持つ。

 

 全ての物が色彩に欠くのだ。

 

 明るいところは白、暗いところは黒にしか見えない。

 魔術による効果か、窓の外も白い空が広がるばかり。

 

 その中で、ひどく冷たい石床を走る姿が五つ。

 

(;'A`)「チクショウ! きりがねえ!」

 

ξ#「無駄口を叩くのは後にしなさい、ドクオ! 追いつかれるわよ!」

 

 ドクオと呼ばれた軽装の男は、それでも絶えず毒づいている。

 

(;´∀`)「モナ……。また出てきたモナ!」

 

 しんがりの大柄な鎧男がそう言うと、先頭の人影がいっそう素早く駆ける。

 

 

10 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/29() 22:12:19.34 ID:5PN97jbn0

 

 行く手には簡素な甲冑を纏った骸骨の群れ。

 半自律の傀儡。数は三十ほどか。

 道を塞ぐ兵士達に向かい、迫る剣士。

 モノクロに、鮮赤のスカーフが翻った。

 

(#゚ω゚)「おおおおおおおお!!」

 

 男の煌く刃は、下から上へ弧を描く。

 前進の力を変換し、跳躍。

 両手に握られた剣が大上段から袈裟に振り下ろされる。

 

 むき出しの肋骨部が折れる度に刻む、軽快なリズム。

 

 前列の白骨が容易く砕けた。

 次いで横の骨を体当たりで跳ね飛ばす男。

 

-)「モナー、バックを頼む。掃除しておこう。下がれブーン!」

 

 背後では彼の仲間の一人が杖をかざし、何かを呟き始める。

 

 

11 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/29() 22:14:44.81 ID:5PN97jbn0

 

 大柄の男、モナーは背にした盾を腕に構え、背後を警戒した。

 その間に剣士がバックステップで集団へと戻る。

 

(;^ω^)ハァハァハァ

 

(;'A`)「クソッ、きりがねえ!」

 

- )――煉獄の炎よ、彼らを真の意味で救い給え」

 

 厳かに呪文を唱えていた黒髪の女性が、杖を前方に向ける。

 

-)「『贖罪の火炎』」

 

 魔力が、輝きが、骸を包み込む。

 

 蒼の業火。

 氷のように冷たく、しかし、確実に対象を焼き尽くす。

 

 それは、塵芥を残すことすら許さなかった。

 

ξ;「急ぎましょう!」

 

 

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29() 22:17:42.17 ID:vXrwv2BTO

 

しえん

 

 

13 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/29() 22:18:32.60 ID:5PN97jbn0

 

(;´∀`)「ツンちゃん、ちょっ、ツンちゃん待つモナ。皆脚早すぎだモナ」

 

 ツン――せっかちな金髪の女性だ――は、早くしなさい、と急かす。

 矢立を背負った後姿は、離れつつあった。

 がちゃつく鎧を見ていたブーンが、耳打ちする。

 

(;^ω^)「脱ぐんでしたらお手伝いしますお?」

 

(;´∀`)「大戦中に我が国王から賜った『絶対防壁』の甲冑だモナ。

       モナの誇りは戦場では脱げないモナよ」

 

 それこそ絶対に、と胸を張るモナーはドクオに尻を蹴られる。

 

(;'A`)「おい、クソみてえな誇りが重くて遅れっちまうなら捨てた方がいいぜ!

    亀吉ども! 今は敵さんにカマ掘られたくなきゃ走るしかねえ!」

 

 さっきまでの自分を棚に上げて、彼はクー、ツンに追従した。

 口さえ閉じていれば、走っていてもドクオは無音の移動を行う。

 三人に遅れないよう、俊足・鈍足、両戦士が駆けた。

 

(; ω )「……絶対に皆で」

 

 剣士は仲間にすら悟られないよう、小さく呟いた。

 

***

 

 

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29() 22:18:49.93 ID:YL35/3IdO

 

支援

 

 

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29() 22:20:12.51 ID:r1c7VgcI0

 

ゾヒー「ヒーローは隊長にきまっとる!!」

 

支援

 

 

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29() 22:20:43.72 ID:SNBQskDJ0

 

支援

 

 

17 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/29() 22:21:52.92 ID:5PN97jbn0

 

 魔と武と学と金の入り乱れた大戦終結前。

 大陸全土は緊迫した空気を押し込め、各国の外相が奔走していた。

 生き残った国中で、ヴィップ国は四国に囲まれた内陸の領土を持つ小国である。

 

 しかし、質実剛健を体現した、強国であった。

 

 起伏に富んだ地形は天然の要塞のようで、そこで育つ兵士もまた、強健だった。

 霊験あらたかな山を有し、呪術師の名家として戦後、なおも名を遺す者達もいた。

 

 強敵として、方々から狙われる時代が続いた。

 しかし、ヴィップ国国王、ロマネスク十四世は同様の小国と同盟を結ぶ。

 肥沃な大地を持つが、力の無い国。

 学に秀でたものの、世事に疎い国。

 

 搾取されるだけの立場を、よしとしない者達は必ずいる。

 それらに、彼は力の相補を持ちかけるべく歩み寄ったのである。

 

 略奪を目的としない彼の態度は味方を多く作った。

 そして、当然それだけの敵を持つことになる。

 

( ФωФ)「魔導騎士団だと?」

 

 

18 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/29() 22:25:01.41 ID:5PN97jbn0

 

 ロマネスク十四世は隣国、金の力で抜きん出たニューソク皇国の不穏な噂を耳にする。

 

「魔術と科学を金銭により纏め上げ、武を成す軍団を組織している」

「仮想生命を宿した魔導騎士は無慈悲に任務を遂行するであろう」

 

 ヴィップでは、そう言った兵器開発は着想段階でしかなかった。

 実用化される前に手を打つ必要があった。

 

( ФωФ)「ここに、大陸の和平条約を提案する! 賛同者はご起立願おう!」

 

 首脳会合の場を開き、出鼻をくじく形で虐殺兵器開発を中止させる。

 その目論見は一種の賭けだった。

 

 やはり、ニューソク皇国皇帝、ワカッテマスがそれに対して非を唱えた。

 

( <●><●>)「何をおっしゃるかと思えば。馬鹿らしい。一方的な終結の提案。

       これがどうして通るとお思いになったのですか。理解に苦しみます」

 

( ФωФ)「そう思われますか、ワカッテマス殿。では、皆さんはいかがかな?」

 

 多くの領主、国王が立ち上がっていた。

 

( ФωФ)「皆、血を流すことに、疲れ果てているのですよ」

 

 

19 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/29() 22:28:33.30 ID:5PN97jbn0

 

 以降、十二度の会合を経て条約は締結に至る。

 つかの間の平和が、脅威の代わりに訪れた。

 

 しかし。

 

( ФωФ)「……それは真か」

 

「間違いなく。密偵が岩を砕く無人の鎧を見ています」

 

 ついに魔導騎士完成の報告を受ける。

 それも、戦争後の修復に各国が賑わっている時であった。

 

 ロマネスク十四世の決断は、迅速だった。

 

( ФωФ)「風の如き俊足、炎の如き太刀筋、兵団団長ホライゾン・ナイトウ。

       鷹の目、全てを射通す金の射手、ツン・デレ。

       魔術の名門スナオ家が長女、魔術師クール・スナオ。

       裏の世界に名を轟かせる迅雷、傭兵ドクオ。

       我が国の誇る、深緑の守人にして絶対防壁、騎士モナー」

 

――そなた達、五名に皇帝ワカッテマス暗殺を命じる。

 

 

20 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/29() 22:33:05.20 ID:5PN97jbn0

 

 玉座の前に跪く面々。

 

( ^ω^)「了解、しましたお」

 

ξ--)ξ「ご随意に」

 

-)「ありがたき幸せ」

 

('`)「報酬は帰ってからでいいぜ」

 

( ´∀`)「御意。モナ」

 

 外相、その護衛として敵城に侵入、魔導騎士の存在を確認。

 武力放棄の提案。

 

( ФωФ)「彼奴は外交に自らが乗り出す。もし、受け入れが為された場合はそれで構わない。

       しかし、提案は棄却されるであろう。当然のことであるがな」

 

 ならば、戦火が上がる前に殺害せよ。

 

( ^ω^)「この任に、確実性はあるのですかお」

 

ξ;「ブー……ホライゾン団長! 無礼ですよ!」

 

 

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29() 22:35:56.76 ID:mEb9eJL2O

 

支援

 

 

22 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/29() 22:36:15.16 ID:5PN97jbn0

 

( ФωФ)「よい。指揮を執る者が首尾を案じるのは当然である。

       詳細はドクオ殿に任せてある。独自の情報網を持ち、城内も熟知しておる」

 

 ドクオは口元をいやらしく歪める。

 

('`)「あっこはでっけえのに、兵器廠以外は警備あまあまだからな。何度も『頂き』に入ってるんだ。

    うへへ。あ、ここは入ってねえよ? 安心してくれ」

 

-)……下衆め」

 

(#'A`)「ああん!? なんだテメーやっちまうぞ!」

 

( ´∀`)「御前モナ。やめるモナよ」

 

(*'μ`*)「良い子ちゃんでちゅね? なあ?」

 

(#'A`)「でっけえ図体しやがってよお! うるせえウドが! 邪魔くせえったらないぜ!」

 

( ´∀`)「……おい、黙れよ」

 

 静かな声を最後に、全員が沈黙する。

 それを破ったのは玉座からの重々しい声。

 

( ФωФ)「遅かれ早かれ、ニューソクは戦乱を起こすであろう。

       そなたらの働きが数多の命を救うことになるのだ。……死ぬな」

 

 

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29() 22:36:19.25 ID:NbdTQ+Dc0

 

siえん

 

 

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29() 22:41:13.67 ID:O7dOHqjYO

 

支援支援支援

 

 

25 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/29() 22:41:14.47 ID:5PN97jbn0

 

 五名の暗殺者は、そうしてヴィップ城を出発した。

 夜盗に襲われることもなく、旅は順調だった。

 始めこそ分裂の危機があったが、次第に関係は良好になっていく。

 

 四日後。

 面々はニューソク皇国領地内に到達していた。

 宿の一室で休息をとっていたホライゾンが、そうやって沈思黙考している時だった。

 ノック。

 

「ブーン」

 

 あだ名で呼ばれ、ホライゾンは声の主に気付く。

 ドアの向こうには金髪の女性、ツン・デレの姿があった。

 

ξ゚ー゚「ここのところ無理してないかしら。悩んでるんじゃないかと思って」

 

( ^ω^)「……僕は。うん。そうだお」

 

ξ゚听「これしか、手段がないのよ。私達が動かなかったら、また人死にが出るわ」

 

 二人の故郷は、ニューソク皇国に焼かれている。

 亡命したヴィップでは、兵役志願をし、共に戦場を駆けた。

 寝食も、生死の境も共に経験している。

 一重に生き残ろうとあがいたブーンの功績は称えられた。

 兵団を任されるようになったのは、二年ほど前のことだ。

 

 

26 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/29() 22:44:59.45 ID:5PN97jbn0

 

 腰掛けていたベッドにスペースを作る若き兵団団長ホライゾン。

 いや、ブーン、か。

 ツンは隣に腰を下ろす。

 ひっそりと、ブーンは喋りだした。

 

( ^ω^)「今回の最終目的は、僕達がやったとすぐ分かるものだお。

       そうしたら和平条約を持ち出したヴィップが、自らそれを破ることになるお」

 

ξ゚听「魔導騎士の危険性は同盟国に伝えてあるのよ。すぐにニューソクが制圧できれば問題ないわ。

      そして、行動の正当性を主張するには……」

 

( ^ω^)「防衛以上の目的が兵器開発にあったと証明しなければならない。

       まずは先駆けとなる、確たる証拠を掴むべし、かお」

 

 暗殺の他に魔導騎士団の規模確認、またそれの鹵獲が任務にはある。

 

ξ゚听「ブーン。英雄はもっと堂々としているものだわ」

 

( ^ω^)「英雄?」

 

ξ゚听「少なくとも私達、武の世界の人間にとってはそうなるのよ」

 

 ブーンは髪をかき乱し、ベッドに身体を倒した。

 

 

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29() 22:47:23.31 ID:TjFkAgFdO

 

支援のようです

 

 

28 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/29() 22:47:37.98 ID:5PN97jbn0

 

( ^ω^)「本当は分かってるんだお。誰かがやらなくちゃいけないんだって。

       ただ、もう人を斬らなくて良いと思ってた反動っていうか」

 

ξ゚听……私もよ」

 

 ツンは悲しげにそう答えて、立ち上がる。

 ねえ、一言呟いた彼女に、ブーンは身体を起こす。

 

( ^ω^)「ツン」

 

 月明かりに照らされたツンは、服をはだけさせ、背中を露出している。

 

 華奢な白い背中。

 何本も走る傷跡。

 

ξ゚ー゚「優しい団長さん。私の怪我は醜いかしら」

 

 ブーンは指をその痕に這わせる。

 

( ^ω^)「美しい犠牲だお。ツンは綺麗だお」

 

ξ゚ー゚「でも、私もこれ以上は増やしたくないの。ねえ。守ってくれる?」

 

 誰だって、傷とは無縁でありたいのだ。

 ブーンは背中に優しく口付けをした。

 

 それは月影の見守る、庇護の誓い。

 

 

29 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/29() 22:54:23.03 ID:5PN97jbn0

 

 二人が初めて誰かの命を奪った日の晩。

 

 ブーンは相手の目が忘れられず、絶えずつきまとっていた。

 

 ツンは崩れ落ちる敵が同じ人間であったことを想った。

 

 二人は自らが生き残っている実感を強く求めた。

 

 握り合った手のぬくもりが、それを満たした。

 

 涙が、溢れ、涸れることはなかった。

 

 命あることに、感謝した。

 

 疲れ果てて寄り添うようにして眠った二人

 

 目覚めると、お互いに照れ臭そうに笑った。

 

 

 

 宿屋の一室で目覚めたブーンは、そんなことを思い出す。

 彼は安らかな寝息を立てるツンの髪を撫でた。

 

( ^ω^)(僕が、ツンを守るんだお)

 

 

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29() 22:54:27.07 ID:O7dOHqjYO

 

支援

 

 

31 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/29() 22:58:51.18 ID:5PN97jbn0

 

('A`)「朝か。眩しいな。チクショウ太陽め。ウツダシノウ」

 

 朝食をちまちまと食べながら、ドクオが言う。

 

-)「貴様は何回死ねば気が済むんだ」

 

( ´∀`)「気付けいるかモナ?」

 

('A`)「おう、今日もいただく。まずいんだけどなこれ」

 

(*'μ`)「でもハイにモッチャモッチャなるからモッチャ嫌いじゃないぜ!」

 

( ´∀`)「……そりゃ、ホントは弱い麻薬だからモナ」

 

 そう呟いたモナーは重装騎兵にも関わらず、常に薬草のストックを多く持つという特殊な人間だ。

 戦場では矢面に立って負傷兵を治療する。

 大きな盾の内にあるのは、慈悲ある戦士の顔だった。

 彼の柔和な性格なくして、パーティーは纏まらなかっただろう。

 

( ^ω^)ノシ「おいすー」

 

-)「おはよう、リーダー殿。目覚めは良いようだな」

 

 

32 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/29() 23:03:19.42 ID:5PN97jbn0

 

 手を振りながら階段を下りるブーンは、晴れやかな顔をしていた。

 後続は、同じく上機嫌なツン。

 

ξ゚ー゚「おはよう、皆」

 

(*'μ`)「おっしゅモッチャようやく皆モッチャモチャ揃ったなムチャ」

 

(*゚ー゚)「お客さんご飯出していいのー?」

 

( ^ω^)「お、お願いしますお!」

 

 女将のしぃは元気な女性で、主人のギコと二人で宿を切り盛りしていた。

 彼等は、五名が国務を背負ったものと知って、なお普通の客として扱う。

 気さくで、夫婦間は良好。

 

-)「結構早い時間から四回戦。うるさくてあまり眠れなった」

 

( ´∀`)「お盛んを通り越して引くレベルモナ」

 

(,,Д)「あいよー、残りお二人分の朝飯なー。四回戦じゃなくて五回戦だぞゴルァ」

 

(*'`)「ウツダシノウ

 

( ´∀`)「あーあーキマッちまってるモナ」

 

 ブーン、ツン、両名は出された料理に手を付けながらそれを聞き逃した。

 

 

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29() 23:04:58.87 ID:i+O9is92O

 

支援

 

 

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29() 23:05:20.34 ID:/oQyfdDY0

 

しえんしえーん

 

 

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29() 23:06:03.55 ID:9Qc7zRv5O

 

鬱C

 

 

36 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/29() 23:10:07.12 ID:5PN97jbn0

 

(*゚ー゚)「お客さん、赤い布ってこんなのしかないけど」

 

( ^ω^)「お! ちょうど良いですお!」

 

 食後、出発までの時間にブーンは女将に頼みごとをしていた。

 馬車に乗り込む時、彼はようやくそれを受け取る。

 

('A`)「そんなもんどうすんだよ」

 

( ^ω^)「むふふ、これを適当な大きさに切って、と」

 

 その布を首に巻き付け、軽く結ぶ。

 

( ^ω^)「赤いスカーフ、熱血ヒーローの象徴だお!」

 

('A`)……団長さんってのァ、子供にも務まるんかね?」

 

-)「しかし目に痛いぐらいの赤だ」

 

( ^ω^)「ヒーローはそれくらい自己主張するカラーじゃないといけないんだお。

       昔話の英雄だって、そういうもんじゃないかお?」

 

-)「五人が揃って巨悪をくじく、という話か。奇しくも我々も五人だな」

 

 

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29() 23:10:12.97 ID:MILqmvx60

 

支援

 

 

38 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/29() 23:11:40.87 ID:5PN97jbn0

 

 五人が力を合わせれば

 全ての敵をなぎ倒し

 弱きは救われ

 強きは挫かれ

 

 五人が知を結すれば

 全ての謎を解き明かし

 悲しみは去りて

 笑顔は溢れる

 

 

 そんな詩が冒頭に載った古来の物語がある。

 何度かの改変を経て、今も伝わる五人の騎士の寓話。

 題を、『五英雄物語』と言う。

 選ばれた単語は易しいものが多い。

 子供が言葉を覚える時によく好まれる話のひとつだった。

 

 

39 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/29() 23:15:30.86 ID:5PN97jbn0

 

('A`)「お決まりの勧善懲悪だな。んなん一度も読んだ覚えも、聞いた覚えもねえ。

    そんな努力と成功の小奇麗な話なんて、ガキの頃から信じちゃいねえ」

 

 ドクオは舌打ちをした。

 彼は傭兵団に拾われた戦災孤児だ。

 親も不確かな出生、暴力と悲鳴をかいくぐる生活。

 それらが幼少の彼から幻想を奪っていた。

 

('A`)「はん。明るく楽しくワルモノ退治。結構なこってす」

 

( ^ω^)「そんなドクオはイエロー・ナイトだお」

 

('A`)「ああ?」

 

( ^ω^)「イエローは、卑屈で寂しがり。普段はとがってるくせ、人情派」

 

(#'A`)「なっ、てめっ、おもしれえ冗談だな! 屋上に出ようぜ……久々にキレちまったよ……

 

 ブーンは彼が義賊の一面を持っていると知ってはいたが、口には出さなかった。

 捨て子院へ兵役志願の呼びかけに赴いた時、偶然ドクオもそこにいた。

 彼が影で支援していたつつましい孤児院だった。

 

――ばーか、お前こんな服汚しやがって。あ? そーんなことで泣くなよ。

  泣いたらおやつ抜きだぞ? 強いヤツがうめえモン食える時代なんだぜ。

 

 

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29() 23:17:17.49 ID:YL35/3IdO

 

支援

 

 

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29() 23:18:26.35 ID:/oQyfdDY0

 

しえ

 

 

 

42 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/29() 23:19:02.15 ID:5PN97jbn0

 

('`)

 

 朗らかに笑っていたのだ。

 ブーンの心にはそれが残っている。

 

( ^ω^)「屋上ってどこだおww」

 

(#'A`)「るっせえぞガキが! ケッ、とっとと馬車乗んぞ!」

 

( ´∀`)「モナはなんだモナ? グリーンモナか?」

 

 グリーン・ナイト。

 気は優しくて力持ち。山のように不動を貫く堅牢な守り。

 自然を愛し、動植物と心通じ合わせたという慈悲の騎士。

 

( ^ω^)「だおだお。昨日の夜考えてたら、皆ぴったりだったんだお。

       クーがブルーで、ツンがピンクなんだお」

 

 愛を司るピンク・ナイトは、心臓を狂い無く射止める正確無比な弓の使い手でもある。

 紅一点として彼女は、寓話の最後でレッド・ナイトと恋仲になる。

 それに気付いたのか、ツンは顔をにわかに紅潮させる。

 

ξ*「ばっ、馬鹿なこと言ってないで早く出発するわよ!」

 

 

( ´∀`)「……しかし暗殺に赴く『英雄』、モナか」

 

 モナーの呟きに気付いたクーが「皮肉だな」と返した。

 

 

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29() 23:22:53.82 ID:4XKiqImPO

 

ファンタジー好き

 

 

44 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/29() 23:24:21.91 ID:5PN97jbn0

 

 活気溢れる城下町に入ると、全員が外交用の装いに身を包んだ。

 特に外相としてはクーが適任と思われ、補佐としてモナーが文官の服を纏った。

 二人は学もあり、ボロが出ないと踏んでの人選である。

 だが、問題はヴィップ出発時の採寸にあった。

 

(;´∀`)「これ、もんのすごい窮屈モナ」

 

 詰襟が締まらず、モナーは呻く。

 

(;^ω^)「骨格からして無理してるお」

 

ξ゚听「まだ着替え終わらない? そろそろ城に行かないと」

 

 パツン。

 

(;´∀`)「ズボンがっ。……やっぱりモナの正装は鎧で良いモナ」

 

(*'`*)9m「プゲラ」

 

(;^ω^)「笑い事じゃないお! 緊張感のないヤツめ……」

 

 だが、肩の力が入り過ぎないようおどけて見せているのだ、とブーンは理解していた。

 

 急ごしらえに適当な衣服が無く、モナーは結局持参の甲冑を着た。

 ちんちくりんの服よりも、確かに幾分はマシだったが、怪しまれそうでもあった。

 

 

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29() 23:26:29.27 ID:/oQyfdDY0

 

ーんしよう

 

 

46 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/29() 23:28:04.28 ID:5PN97jbn0

 

 なんとかニューソク城まで赴くことが出来た一行は、巨大な門をくぐった。

 非常に広大な敷地を持っているニューソク城へは、長い橋を渡る必要がある。

 城を隔絶するかのように、天然の堀の如き大河が走っているためだ。

 ブーンはそのたゆたう水面をかなり下の方に確認できた。

 

('A`)「妙な動きすんなよ。見えないけど、城からこっち監視してるヤツが常時十人はいるんだ」

 

 馬車の振動に紛れて、ドクオが静かに言った。

 

('A`)「最近は重量感知魔法がこの石畳にかかってるらしくてな。

    既にこっちの人数や大体の装備が、敵さんに割れてると思った方が良い」

 

-)「警備は甘いと言っていなかったか?」

 

 橋の手前にあった門は門番が二人左右に立っているだけだった。

 それはただの飾りようなものだったのか。

 

('A`)「中は甘いさ。だが、ここで侵入されなきゃあっちも楽チンだろ。

    まあ、そんなもん俺にかかりゃどうってこたないんだけどな」

 

 

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29() 23:31:36.76 ID:4XKiqImPO

 

しえしえ

 

 

48 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/29() 23:32:05.93 ID:5PN97jbn0

 

ξ゚听「アンタ、どうやってここに入ったの?」

 

('A`)「昔は食料樽に混ざったり、新月の晩に川渡ったり、だな。まあ後は、今回帰りに使う抜け道か」

 

 両岸の絶壁には、河川へと降りるための施設がある。

 その形状は円筒の上下に箱を付けたようなもの。

 船着場が下方の箱から突き出していた。

 水圧と魔力を利用した、自動乗降設備を備えてあるらしい。

 

( ^ω^)「渡航は大変だお……。抜け道は安全なのかお?」

 

('A`)「モチのロンよ。俺が知ってるってことを相手が知らないだろうしな。

    抜け道もいくつかあるんだ。おかげで俺は捕まってないぜ?」

 

( ´∀`)「妙な魔法があっても、クーさんが解除できれば問題ないモナ」

 

-)「スナオ家の威信にかけて、任されよう」

 

 橋の半ばまで差し掛かると、再びドクオが口を開いた。

 

('A`)「いいか、密室だとしても不用意な言動には気をつけろよ」

 

ξ゚ー゚「一番口数の多いヤツがよく言うじゃない」

 

 ドクオは舌打ちだけを返して、それ以上、何も言わなかった。

 

 

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29() 23:35:14.65 ID:/oQyfdDY0

 

 

 

50 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/29() 23:36:07.34 ID:5PN97jbn0

 

 やがて、馬車は断崖に囲まれた城へとたどり着く。

 跳ね橋の前で御者が馬を停めると、鎖の擦れる音が激しく響いた。

 渡しがこちらに接地した時、青年が城門からこちらに頭を下げているのが見えた。

 

( ><)「ようこそ遠路はるばる。歓迎します、ヴィップ国大使殿方」

 

-)「感謝いたします」

 

 優雅な振る舞いでもって応じるクーは、他を驚かせた。

 ヴィップ国、裏の実力者が一門、名門スナオ家。

 その次代を担うに相応しい気品と風格がそこにあった。

 

( ><)「お疲れでしょう。まずは長旅の疲れを癒してはいかがでしょうか」

 

 笑顔の下に何があるか分からない。

 ツンは使いの者を見てそう思ったようだった。

 しかし、外交には手順というものがある。

 

( ´∀`)「ありがたいことです。それでは、此度はご厚意賜ります。モナ」

 

 

51 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/29() 23:40:51.04 ID:5PN97jbn0

 

 通された広間は華美でないにしろ、豪奢であった。

 調度品は黒に統一され、白い壁から等間隔に生える燭台が印象的だ。

 チェス盤を想起させる床はひやりと冷たい。

 人気が無いのも、それを強めた。

 

 しかし。歩けど歩けど、前を行く青年は止まらない。

 会合が行われるのは恐らく、この広い城内の最奥部。

 果たして、発覚した場合、逃げおおせるのだろうか。

 

( ^ω^)(暗殺失敗はありえないお。問題は見つかるまでの時間……)

 

 その時、なあ、と足音に挟まれる気楽な声。

 

('A`)「腹減ったなあ。飯は期待して良いのかい? 川魚が名物なんだろ?」

 

ξ#)ξ(こいつ……私達は『従者』なのよ……)

 

 ぴりりとした空気に、後ろを歩くブーンも冷や汗をかく。

 なおも歩を進める使いは気にしていない風に答えた。

 

( ><)「半刻以内にお食事の準備が整います。それまではお部屋でおくつろぎください」

 

 前触れもなく立ち止まった青年は、ドアを開け、頭を下げる。

 

 窓の外が夕日に染まる頃、五人は食堂に招かれた。

 

 

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29() 23:41:04.98 ID:NbdTQ+Dc0

 

(‘_’)よし、支援だ

 

 

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29() 23:41:21.54 ID:4XKiqImPO

 

私怨

 

 

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29() 23:44:41.61 ID:vtwBLrpw0

 

しえそ

 

 

55 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/29() 23:45:16.46 ID:5PN97jbn0

 

-))モグ

 

ξ゚ -モグ

 

(( ´―))モグモナ

 

( ^ω^)「……ドクオ」

 

((*'μ`*))「おふっ? なんぶぁモッチャ、ンッグ、なんだよ大将モッチャ。

      ああ、この魚か。ふまんふまんモッチャ、はいよ」

 

ξ゚听「ホライゾン団長、構いませんわ。口が塞がってる方が静かです」

 

 比較的ね、と小さく付け加えるツンは、落ち着いて見えた。

 しかし、彼女は緊張を隠すのが上手いだけだ。

 ブーンは長い付き合いでそれを知っていた。

 

-)

 

 アイコンタクト。

 下手に食べない方が警戒させるのだと、クーの目は言っていた。

 剣を振るうだけの生活からは得難い知識だ、とブーンは思う。

 

 

56 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/29() 23:49:32.24 ID:5PN97jbn0

 

「ようこそいらっしゃいました皆様。大使殿、従者殿方」

 

 明澄な声が、食堂に静寂をもたらす。

 入り口に現れた、目のギョロついた男の声だった。

 

( <●><●>)「我がニューソクへようこそ。わたくしがワカッテマスです」

 

――皇帝、ワカッテマス。

 

 ドクオを除き、テーブルに着いていた全員が席を立ちお辞儀をする。

 ツンが促すことで、ドクオも倣った。

 

-)「お目にかかれて光栄です。皇帝殿。外交の使徒、クール・スナオにございます」

 

( <●><●>)「ほう、ヴィップの高名なる家系のご息女がおいでになるとは。

       歓迎いたします。どうぞ、お座りになってください」

 

 神経質そうな顔つきのワカッテマスは、しかし、低くはっきりと喋る。

 足腰もかくしゃくとして、老齢であろうにそれを感じさせない歩みを見せる。

 しわのある顔は老人のもので間違いない。

 だが、絹の衣に包んだ身体は青年のそれのようだった。

 

-)「わたくしのような者をご存知とは、光栄の極み。かような手厚い歓迎に感謝しております」

 

 皇帝を含む六名が着席した。

 

 

57 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/29() 23:52:53.56 ID:5PN97jbn0

 

 ブーンは口を閉ざし、誰かの言葉を待った。

 ツンも同じく、成り行きを任せるしかない。

 ドクオはようやく口の中を空にして、腰の短剣の在り処を確かめる。

 モナーが甲冑を脱いでしまっていたことを後悔した時、クーは口を開いた。

 

-)「帯剣をお許しになったのは、何故ですか」

 

(;゚ω゚)()

 

-)「我々が刃を向ける。それを考えなかったのですか」

 

 空気が張り詰める。

 皇帝が目を伏せた。

 

(;゚ω゚)(どういうつもりだお、クーさん)

 

 何故、わざわざ自分たちへの警鐘を鳴らさせるのか。

 

 ブーンの視界の端で、剣の柄に指先を当てるドクオの姿が映った。

 他には誰も、それに気付いてはいないようだった。

 当然だろう。

 彼は気楽な馬鹿者を演じきっていたのだから。

 

 

58 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/29() 23:54:36.30 ID:5PN97jbn0

 

 ワカッテマスの顔が上がる。

 

( <●><●>)「もはや、太平の時代。しかも客人がその立役者となった国の民です。

       これほど信頼できる相手から、どうして武器を取り上げる必要がありましょう」

 

 そして、笑顔。

 

( <●><●>)「そして貴方は聡明なスナオ家が次期頭首、クール殿。信用と尊敬に値します」

 

-)……余りあるお褒めの言葉です。無礼な振る舞いをお許しください」

 

( <●><●>)「我が国の歴史を鑑みれば、仕方のないことです。

       ですから、兵団団長ホライゾン殿、『絶対防壁』モナー殿。

       御両名が護衛についてらっしゃるのでしょう?」

 

 モナーが胸に溜まった空気を小さく吐き出した。

 ブーンも息が詰まる思いだった。

 

( <●><●>)「むしろ、ヴィップ国大使殿方こそ我々を警戒するのが自然というもの」

 

 ツンはブーンと居心地悪そうに目を合わせた。

 

 

59 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/29() 23:57:48.65 ID:5PN97jbn0

 

-)「彼等は我が国の誇る武の体現者でございます」

 

(; ω )(ニューソク皇帝に!)

 

 ニューソク皇国は経済活動、つまり金の分野に秀でる。

 それは愚者の欲望を示唆していた。

 他国の主達は、それによって全てを統括するニューソクを蔑視していた。

 嫌が上にも、話題はそちらに流れるだろう。

 

 ひりつく大気がブーンの肌を刺した。

 ひどく喉が渇いていることを、彼は感じていた。

 

( <●><●>)「ふふ、存じています。強国ヴィップの象徴、武と魔。

       無論、魔の体現者とは貴女。ニューソクではわたくしが金の体現者」

 

――あるいは亡者です。

 

-)「それを踏まえて、お耳に入れて頂きたい」

 

( <●><●>)「ほう、貪欲の徒に一体何を頂けるのでしょう」

 

 

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29() 23:58:34.42 ID:O7dOHqjYO

 

支援

 

 

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/30() 00:00:36.58 ID:Umo7FkhNO

 

しえすた

 

 

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/30() 00:01:00.18 ID:o0alCEK+0

 

しえん

 

 

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/30() 00:01:35.43 ID:Jc0T/gD70

 

しえn

 

 

64 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/30() 00:01:51.08 ID:FMuNQq0V0

 

 

 

-)「我が主君の言葉がございます」

 

 

 そして。

 

 

 クーは、あろうことか微笑んだ。

 

 

 

 

 

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/30() 00:05:40.85 ID:aMk92lBa0

 

ちょっと日付を見てみろ

 

 

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/30() 00:05:52.86 ID:Aznzj19uO

 

支援

 

 

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/30() 00:06:38.25 ID:Jc0T/gD70

 

しえn

 

 

68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/30() 00:07:01.32 ID:Umo7FkhNO

 

>>65

まあ今更言っても仕方ないだろw

 

 

69 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/30() 00:08:49.05 ID:FMuNQq0V0

 

゚ー゚)「『無礼があらば、武人両名の首をはねて報いよ。然る後、魔術にて屍を焼け。

     我等が二大の至宝をもって償いとせよ』」

 

 完全なる静寂が訪れた。

 

 やがて聞こえるのは、くつくつ、という抑えた笑い声。

 

( <●><●>)……くくく、実に面白い方だ。しかし、それはさすがに貴重すぎます。

       強欲の食指が戸惑ってしまうほどにです!」

 

 張り詰めた何かが急激に弛緩する。

 ドクオが座りなおし、手を柄から離した。

 

( <●><●>)「くくくく、失礼。意地悪が過ぎましたね。では、堅い話は明朝にでも。

       今宵は美酒と選りすぐりの酒肴をご用意しましたので」

 

 どうぞお楽しみください、と指が鳴らされた。

 楽団と新たな料理が食堂へと入ってくる。

 華々しい弦楽は一行に安堵をもたらした。

 全員、仮初のものである、と自覚していてもだ。

 

 

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/30() 00:08:59.23 ID:Jc0T/gD70

 

>>65

投下開始が投下範囲内だからセフセフwwww

 

 

71 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/30() 00:10:15.46 ID:FMuNQq0V0

 

 食堂は賑やかさに溢れた。

 先ほどまでの緊迫した雰囲気が、それをさらに感じさせる。

 

 無防備な殺害対象。

 笑顔でクーと芸術を語らうワカッテマス。

 

 ドクオは努めてそちらへ目線を送らないようにして、杯を傾ける。

 

('A`)(信頼、ね。女狐に狸親父のとんだ茶番だぜ)

 

 全てを我が利とせん、智謀の帝。

 ワカッテマスが大戦中に得た評判である。

 

('A`)(しかしヤツはくせえ。嘘吐きの、きなくせえ匂いがプンプンしやがる)

 

 気を紛らわすための酒に、顔を赤くしたブーンがその神妙な面持ちに気付いた。

 だが、下手に話しかけることはしなかった。

 あくまでも晩餐を楽しんでいる風を装うので精一杯だったのだ。

 

 

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/30() 00:11:28.39 ID:aMk92lBa0

 

>>68

終わってないのここだけだから気になって寝れないんだ

 月 曜 日 は 早 い っ て い う の に

 

 

73 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/30() 00:12:06.33 ID:FMuNQq0V0

 

 しばらく続いた音楽がコントラバスのビブラートを最後に止む。

 そこで宴のお開きを告げた皇帝は、付き添いも無しに食堂を後にした。

 五人も一旦部屋へと戻る。

 

 女性用に宛がわれた部屋では、金髪と黒髪の女性が寝支度を始めていた。

 

ξ;「すごくひやひやしたわよ、クー」

 

-)「使節団とは言え、戦時中の敵国が武装して一国の主の前に。

     これは異常事態だぞ。逆に尋ねない方がおかしい」

 

ξ;「それはそうかもしれないけど」

 

゚ー゚)「ふむ? 鷹の目は腹の探り合いに千里眼を用いることはできないのだな?」

 

 ツンは大きく嘆息し、目をつむった。

 

ξ;--)ξ……原野で踏んだ場数もここでは通用しないわ。認めましょう」

 

 

 ノック。

 

 

74 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/30() 00:16:57.08 ID:FMuNQq0V0

 

ξ゚听「どなたでしょう」

 

「俺だ俺、ドクオだ」

 

-)「なんだ。空気の読めない男」

 

 開けられたドアの向こうに、枕を抱えたパジャマの男が一人。

 

(*'`)「眠れなくって来ちゃった

 

 

-)

 

 

ξ゚听

 

 

 ドクオの身体は一歩踏み入れたところで、打撃を受け、床に倒れた。

 女性二人が三角絞めと腕ひしぎをかける様は圧巻だった。

 

(;A(#)「かえりまーす」

 

ξ゚听「はいどうぞー」

 

 

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/30() 00:18:09.33 ID:e2xuEOuXO

 

支援

 

 

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/30() 00:19:23.59 ID:o0alCEK+0

 

しえーん

 

 

77 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/30() 00:21:06.01 ID:FMuNQq0V0

 

 男部屋では、ブーンとモナーが待っていた。

 ドクオに気付くと、二人はニヤニヤして迎えた。

 

( ^ω^)「おっおっ、お疲れ様だお」

 

('A(#)「こっぴどくやられちまったぜ。お高くとまりやがってあの女ども」

 

 適当な言葉で答えながら、ドクオはポケットに手を入れる。

 取り出したのは、アルコール用フラスコが二本。

 それと茶色に日焼けした紙切れだ。

 

( ´∀`)「自業自得だモナよ」

 

 差し出されるフラスコが、わずかに水音を起こす。

 

( ^ω^)「で、パジャマのツンは可愛かったかお?」

 

 ブーンは喋りつつ二本のうち、「silent」というラベルの貼られた方を受け取った。

 蓋を開けると、少量ずつ中身を床に垂らしていく。

 

 描かれたのは淡い光を放つ青の円。

 

('A(#)「さあな、『迅雷のドクオ』が見えない速度で関節技極められてたからな」

 

 三人はその中へ踏み入った。

 窓の外の月だけがそれを静かに見ていた。

 

 

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/30() 00:22:13.29 ID:Jc0T/gD70

 

しえn

 

 

79 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/30() 00:24:40.33 ID:FMuNQq0V0

 

('A(#)「あー、これマジ痛い。目的知らされてなかったらぶち切れてるわ。

    事前に受け渡しとかできねえの? これ」

 

( ´∀`)「術者から離れると効力薄まっちゃうから仕方ないモナ」

 

(;^ω^)「ようやく普通に喋れますお。もう気張り詰めて疲れましたお」

 

( ´∀`)「モナモナ。二人とも名演技だったモナよ。あ、これ湿布用の薬草モナ」

 

(#'AП)ペトリ「つかさ、おめーはもっと喋れよ! 俺らで頑張っちゃったじゃねーか!」

 

(;^ω^)「盗聴魔法とか厄介すぎだお」

 

 防音特化の障壁魔術。

 それがフラスコに注がれた液体の正体だ。

 ドクオが女性部屋へ入ったのはこれを受け取るためだった。

 

( ´∀`)「モナは寡黙だから良いんだモナ。んで、気付けは?」

 

(#'AП)「十分目ぇ覚めてんよ! チクショウが」

 

 ドクオの情報網から、客室に音声探知の魔術が施されていることが分かっていた。

 曰く、終戦後に無人警備に力を入れたのであろう、とのこと。

 

 

80 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/30() 00:26:27.32 ID:FMuNQq0V0

 

 壁を見透かす魔術は相当に高度で、スナオ家ですら一握りの者しか扱えないという。

 対して、盗聴は気付かれやすいが、維持に易い汎用呪文なのだそうだ。

 局所的になら複数箇所に施術できるらしい。

 

 その情報からクーは、ニューソクへの移動中に魔法液を調合。

 短時間とは言え、完全なる防音を可能にする結界用のインクだ。

 

( ^ω^)「これからのことをもう一度確認しておくお」

 

 靴紐をきつく結びなおして、ブーンは言った。

 

('AП)「俺が先導してブーンと兵器廠へ。魔導騎士の存在、また規模を確認。可能ならば鹵獲」

 

( ´∀`)「発覚時に備えてモナは待機、だモナ」

 

( ^ω^)「ですお。僕達は逃走経路の下見もしてきますお」

 

('A`)「あーすっきりした。腫れ引いてるな。で、そのまま皇帝やっちまえたら楽なんだけどな」

 

 しかし、そうもいかない。

 そもそも、皇帝の寝室どころか、生活空間が不明なのだ。

 こればかりはドクオでも、特定が叶わなかった。

 行く当ても無く彷徨うのは、この広大な城内では危険だ。

 

( ^ω^)「明日、目前にいるワカッテマスを仕留めるしか、方法はないお」

 

 

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/30() 00:27:28.28 ID:2jfslzjRO

 

受け渡しを誤魔化す為の演技の筈なのに湿布が必要な程の攻撃くらう必要性ねぇwwww

 

 

82 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/30() 00:28:41.05 ID:FMuNQq0V0

 

( ´∀`)「万一、魔導騎士がひとっつも確認できなかった場合、どうするモナ?」

 

 すでに存在が分かっている虐殺兵器。

 それがないとは考えられない。

 「ある」、というのは仮定ではない。

 

( ´∀`)「万が一、だモナよ」

 

 念押しをするモナーは慎重に言った。

 

( ^ω^)「それは……、会議でクーさんに頑張って話を進めてもらうしかないですお」

 

 それを聞いてドクオは眉間にしわを寄せる。

 

('A`)「そん時は殺さない、か?」

 

( ^ω^)「ドクオはそれじゃ不満かお」

 

 別にそんなんじゃねえよ、と彼はおどけるように肩をすくめた。

 ブーンの表情が険しくなったのを見たためだ。

 

 

83 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/30() 00:30:54.48 ID:FMuNQq0V0

 

 人が死なずに済むならそれより良いことはない。

 

 若き兵団長の願いは、数日の旅路で皆に伝わっていた。

 ツンとブーンの故郷を蹂躙したニューソク。

 そして、皇国の有する兵士は彼らの両親をも亡き者にした。

 

( ^ω^)(誰だって傷付けあうのは、もう嫌なはずなんだお。うんざりしてるはずなんだお)

 

 ブーンが本来、最も憎むべき相手、皇帝ワカッテマス。

 彼を仇敵として赦すことはなかった。

 しかし、先ほど相対して胸に抱いたのは憎悪ではない。

 

 空虚な悲しみだった。

 

 何の変哲もない男の意思ひとつで、数千、数万の命が消えるという現実。

 

(  ω )(うんざりなんだお。僕は、僕はただ……)

 

 その時、ブーンの肩に大きな掌が乗せられる。

 はっと顔を上げると、モナーが青々しい葉を差し出していた。

 

( ´∀`)「ホライゾン君、このハーブを噛むと良いモナ。

       でも、ちょこっとだけだモナよ。注意力散漫になるモナ」

 

 

84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/30() 00:32:04.31 ID:h/KDNGY6O

 

支援

 

 

85 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/30() 00:32:52.00 ID:FMuNQq0V0

 

('A`)「あんだ、それ?」

 

( ´∀`)「りらーっくす、だモナ。ホライゾン君」

 

 ドクオを無視して、ブーンの両肩をさするモナー。

 言われた通りに葉の端をかじると、ブーンの舌にマイルドな刺激が広がった。

 じわりと温かいような、不思議な優しい感覚が彼の頭に満ちる。

 

( ´∀`)「どうだモナ?」

 

( ^ω^)「おっ……なんだかすっきりしましたお」

 

( ´∀`)「モナモナ。グリーン・ナイトは癒しの力を持つモナよ」

 

(#'A`)「けっ、シカトかよ緑の亀吉が。もういいぜ」

 

 イエロー・ナイトは卑屈で寂しがり。

 ブーンはそれを思って、一人、口の端を歪めた。

 

( ^ω^)(僕はレッド・ナイトだお。淀みなく皆を導かなくちゃいけないんだお)

 

 先駆者、指導者。

 彼は首に巻いた赤いスカーフを整え、顔を叩いた。

 

 

86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/30() 00:32:54.19 ID:Umo7FkhNO

 

支援ー

 

 

87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/30() 00:32:55.96 ID:Jc0T/gD70

 

しえn

 

 

88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/30() 00:34:47.71 ID:o0alCEK+0

 

んえーし

 

 

89 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/30() 00:36:11.05 ID:FMuNQq0V0

 

 白と黒の廊下を走るふたつのぼやけた影。

 ドクオとブーンだ。

 月光に照らされる姿は曖昧で、人としての輪郭を保っていない。

 暗いところでは、認識が非常に困難だ。

 彼ら自身、物陰に入る度にお互いを見失いそうになっていた。

 

('A`)(誰もいない)

 

( ^ω^)b(把握。行くお)

 

 曲がり角でハンドサインを使う二人。

 声を出さないのはもちろんのこと、足音、衣擦れの音すら起こさない。

 

 クーがドクオに託したフラスコのもう一方には「conceal」のラベルが貼ってあった。

 

――頭から被れば、不完全ながら視覚を惑わす。

 

 事前の説明通り、銀色の中身を被った二人は、立ち止まるだけで人の目から逃れた。

 既に歩哨を三人やりすごしている。

 三人目など、あまりに近くでも気付かないので、ドクオがふざけて触ろうとしたほどだ。

 さすがにその時のブーンのパンチが効いたのか、以降、慎重に行動している。

 

 無音移動は言わずもがな「silent」液の恩恵による。

 

 

90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/30() 00:37:38.06 ID:XHD/A/LcO

 

寝れねえww

支援

 

 

91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/30() 00:38:12.07 ID:rjTjoF/AO

 

まとめてもいいですか?

 

 

92 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/30() 00:39:56.58 ID:FMuNQq0V0

 

( ^ω^)ノ(待つおドクオ。防音付け足すお)

 

('A`)(おk。早くしろよ)

 

 ドクオは元から隠密行動に長けるらしく、魔法液を必要としなかった。

 一瞬だけブーンの足、また、衣服の擦れる部分が淡く、蒼に光る。

 

(*'`)(股と脇が光るのめっちゃウケるんですけど)

 

(;^ω^)(なんかニヤついてないかおコイツ)

 

 武器保管庫の手前まで到達したところで、二人は物陰に身を隠した。

 振り向いたドクオの顔が、ついに緊張の色に染まっていた。

 ブーンは頷き、手信号を送りあった。

 

――ここからは警備が段違いだ。灯りも兵器廠周辺だけすさまじく多い。

 

――分かったお。ここからは走らないで行くんだおね?

 

 ドクオが首肯する。

 

――戦闘はありえない。痕跡さえも残したらアウトだ。

 

 

93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/30() 00:42:24.25 ID:XHD/A/LcO

 

支援だ

 

 

94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/30() 00:43:48.39 ID:Jc0T/gD70

 

しえn

 

 

95 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/30() 00:44:09.21 ID:FMuNQq0V0

 

 歩哨が一人、物陰に近付いた。

 兵士が通った瞬間に、その影に入るドクオ。

 自らの影がぼんやりと肥大していることに、歩哨は気付かないようだった。

 ブーンも、訪れたもう一人の歩哨の影へ。

 

 松明の灯りが両脇を照らす、武器保管庫の前を通る。

 門前にいた見張りが、巡回中の仲間に片手を挙げて挨拶する。

 まずはドクオが、次にブーンが移動する影に追従、目前を通過した。

 

 下り階段が見えてくると、そこには椅子に座って船を漕ぐ兵士がいた。

 巡回していた兵士は、その睡眠を阻害、喋りだした。

 ドクオは一旦、ブーンの到着を待つ。

 

 後から来たもう一人の兵士が来る。

 三名が会話に夢中になり始めた頃、ブーンはわき腹を小突かれる。

 

( ^ω^)(お待たせだお)

 

('A`)(行くぞ、早くついてこい)

 

 彼の指差す先は階段だった。

 

 

96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/30() 00:44:51.16 ID:o0alCEK+0

 

シエン・シエン

 

 

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/30() 00:48:13.62 ID:XHD/A/LcO

 

支援だな

 

 

98 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/30() 00:49:31.04 ID:FMuNQq0V0

 

 螺旋を描く階段には半周毎に灯りが点されていた。

 幅は、大人が両手を広げれば内外の壁に指先が触れる程度。

 蝋燭の炎が大きく揺れる度に、ブーンは身を強張らせた。

 見通しの悪さに比例して、彼の心臓は激しく拍動するのだった。

 

 数段ごとにドクオは静止の合図を出し、耳を澄ませる。

 

 半周降りる。

 

 一周降りる。

 

 二周降りた。

 

 そして四週。

 

 さらに続くな、とドクオが振り返った。

 ブーンもそれに頷いて答える。

 喉元で脈を打つようになった心臓が、元の位置に戻りかけていた。

 

 

 

 

 足音。

 

 

 

 

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/30() 00:49:45.68 ID:Jc0T/gD70

 

しえ

 

 

100 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/30() 00:52:20.39 ID:FMuNQq0V0

 

 二人の身体が硬直した。

 

 反響のせいで、音が上下いずれからくるのか特定できない。

 

(;'A`)(息を整えろ! 落ち着け!)

 

(;゚ω゚)ハァ……ハァ……ハァ……

 

 防音障壁は人の肌には定着せず、当然、口元になど塗れはしなかった。

 漏れる荒い呼吸に、ブーン自身腹が立った。

 肋骨を内側から叩く心拍が、外に響いているのでは、と彼は錯覚する。

 だが、無慈悲にも接近の気配は止まらない。

 

(;゚ω゚)(捕まったら、皆……。収まれ! 収まれ!)

 

(;'A`)(そうだ、アレを出せ!)

 

 ドクオはブーンの服を探った。

 彼は目くらましの魔法薬しか使用していない。

 よって、衣擦れの音が起こされる。

 

 足音が、はたと止まる。

 

 刹那、速度を上げる規則的なステップ。

 ドクオがついに、目的の物を探り当てる。

 

 

101 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/30() 00:55:00.18 ID:FMuNQq0V0

 

「……一体なんだ?」

 

「下の学者連中がお散歩でもしてたんじゃないのか。

 それか逃げ出そうとして、ビビって戻った、とか」

 

 上階から来た二名が、気配のした周辺を見回す。

 片方は階段の入り口横で眠りかけていた見張りだった。

 その頭が傾く。

 

「散歩……夢遊病のヤツがいたっけなあ」

 

「夢の研究してたら魔術が暴発したってあいつか」

 

「研究なんかしなくっても、見張りしてりゃすぐストン。だけどな」

 

「ばーか、お前と一緒にすんなよ」

 

 兵士達は別段調べることなく、納得してそのまま下っていった。

 

 残されたのは蝋燭の軸が焼けるわずかな音。

 

 ややあって、ぼやけた輪郭が階段に音もなく着地する。

 

(;'A`)「ここでならちょっとくらい声を出しても良さそうだな」

 

 

102 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/30() 00:58:37.83 ID:FMuNQq0V0

 

 続く影がひとつ。

 

(;^ω^)「すまないお、ドクオ」

 

('A`)「結果的に見つかってないんだ、気にすんな。慣れってのもある。

    ……モナーに感謝しろ。元を辿れば奴さんのおかげだ」

 

 ドクオの手に握られたのは、半分に切られた葉。

 それは、モナーがブーンに渡した、「りらーっくす」用のハーブだった。

 ブーンは未だ原型を留めているそれを吐き出し、ポケットに突っ込む。

 

 彼が受け取ったのは、やはり麻薬のようなものだった。

 少量ならばそれこそリラックス効果を発揮する。

 しかし、多くを噛み続けると、多幸感、次いで軽度の倦怠感を示す薬草。

 高い交感神経抑制作用を持つが、依存性は低く、高値で取引されるものだ。

 

('A`)……グリーン・ナイトの癒しの力ね」

 

 ドクオはそれをためつすがめつし、何かを想ったようだった。

 

 

103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/30() 01:00:20.85 ID:gh0QAl7xO

 

しえーん

 

 

104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/30() 01:01:20.31 ID:o0alCEK+0

 

しぇん

 

 

105 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/30() 01:01:33.28 ID:FMuNQq0V0

 

('A`)「もう行けるか?」

 

 葉の残った半分を自分の懐に入れつつ、ドクオは問う。

 

( ^ω^)b

 

 無言は、隠密行動の再開を示していた。

 

 螺旋階段はそれから二周と半分で終了した。

 こもった、なまぬるい空気が二人の顔を撫でた。

 

('A`)(兵器廠への城内口だ)

 

 階段から開けた空間を覗き込む。

 変わらず白黒の内装と、実験器具が多く確認できた。

 

 秤やフラスコ、何かの粉末や鉄片が乗った台。

 曲がりくねったガラス管はその間を走る。

 使途の分からない金具の入った大きな箱。

 壁際の棚には大小様々なガラス瓶。

 

 階段でニアミスした兵士達を含めた、八名ほどの歩哨。

 歩き回っては台の下などを覗いている。

 学者然とした人間は一人もいない。

 時折、作動している器具の立てる水音だけが聞こえた。

 

 ドクオはその奥を指差す。

 

( ^ω^)б(お、あれかお)

 

 

 

106 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/30() 01:03:14.23 ID:FMuNQq0V0

 

 ブーンの目に錠前付きの頑丈そうな鉄扉が映った。

 高い天井いっぱいまでの、大きく黒い門だ。

 しかし、ドクオは首を振る。

 

а('A`)(いや、それは兵器搬出入用。横の扉を目指す)

 

 二人は慎重に歩を進めた。

 遮蔽物に富むこの部屋は、侵入するに容易い。

 

(;^ω^)(これは、心臓かお?)

 

 台に乗ったどす黒い肉塊が、規則的に脈動している。

 管が繋がれ、液体が供給され、また拍出される。

 

('A`)(脳みその輪切りか。悪趣味ったらねえぜ)

 

 また別の台には、縦横にスライスされた脳の標本。

 走り書きのメモには「夢想状態」「色付きの夢」などの文字が読めた。

 

 あと五メートルもしないで目標まで到達できる。

 

('A`)(……止まれ)

 

 突然ドクオが出した停止の合図に、ブーンは驚いた。

 

(;^ω^)(なっ、なんだお?)

 

 

107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/30() 01:04:02.26 ID:Jc0T/gD70

 

しえn

 

 

108 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/30() 01:07:40.35 ID:FMuNQq0V0

 

('A`)(見ろよ)

 

( --)「――な物がございまして――開発――夢が」

 

 そこには床に寝転んだまま身振り手振りを行う白衣の男。

 絶えずぶつぶつと何かを唱えている。

 

( ^ω^)(この人は学者かお)

 

('A`)(見回りが来る。一旦隠れよう)

 

 実験台の下へと身を潜める二人。

 白衣の男に近付く兵士。

 

「ん? おい、こんなところで寝るな。やっぱりさっきのはアンタだったのか」

 

( --)「そうすれば私は――信じ――絶対」

 

「起きろ。モララー博士」

 

(;・∀・)「―――クール様!」

 

(;^ω^)(モララー博士!?)

 

 

109 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/30() 01:09:06.69 ID:FMuNQq0V0

 

 がばっと起き上がったモララーは辺りを見回し、ため息をついた。

 

( ・∀・)「あ、すみませんね。また歩き回ってしまったようで」

 

「まったく手のかかる。逃げ出そうとしたわけじゃないんだな」

 

( --)「逃げられるわけが、ないじゃないですか」

 

「ふん。まあ、な」

 

( ・∀・)「……ええ」

 

 にやりと笑って立ち去る兵士。

 モララーは顔をしかめると、ブーン達の目指した扉へ向かう。

 ドクオがブーンの服を軽く引っ張り、その後を追った。

 

 その中は学者の住居スペースだった。

 扉からは短い廊下が続き、途中の部屋には寝台や食卓が見える。

 奥は兵器廠へ続いているようだった。

 

( ・∀・)「私は、何をやっているんだ……」

 

('A`)(……)

 

 モララー博士は、壁に背をつけ、座り込む。

 

 

110 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/30() 01:12:08.14 ID:FMuNQq0V0

 

(  )「どうしようもない男だ。私は」

 

 その時、ドクオが素早く接近し、片手で口を塞いだ。

 さらに空いた手で短剣を首元に当てる。

 

(;^ω^)(ドクオ何するんだお!!)

 

(;・∀・)「っ!」

 

 ドクオは短剣をブーンに預け、懐から紙切れを取り出す。

 フラスコと共に彼が渡された物だ。

 それを口に当て、喋りだす。

 

('A`)――――

 

 一切の音が聞こえないまま、彼は紙切れを口から離した。

 

 一瞬の後、紙に異変が起こる。

 

『クールだ。モララーがいるのか? 彼は行方不明になっていた。

 本当なら、彼に紙を渡してくれ。使い方は分かっているはずだ』

 

 じわりと湧き出すように描写されたのは、そんな文字だった。

 モララーの目の前にそれを掲げるドクオ。

 

(;・∀・)「っ!」

 

 彼はそれを黙って受け取った。

 

 

111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/30() 01:13:30.63 ID:Iwx1v7RAO

 

支援す

 

 

112 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/30() 01:14:47.93 ID:FMuNQq0V0

 

 モララーはドクオと同じくして、紙に喋りかける。

 声は全てそれに吸収されてしまうようだった。

 

('A`)(ブーン)

 

( ^ω^)(分かったお)

 

 残りが半分をきった「silent」液で、暗がりに結界を張るブーン。

 三人が無理やり入り込める程度の大きさで、円が描かれた。

 

 先ほどの文字は消え、新たな文字列が紙に現れた。

 

『モララー。再び話すことができて嬉しいよ。やはりニューソクに捕まっていたのだな。

 しかし、お前がそこにいるということは――』

 

 そこまで読んでブーンも理解する。

 記憶を辿り、言葉を発した。

 

( ^ω^)「スナオ家お抱えの学者一派が長、モララー博士。

       終戦の二年前、僕が団長になった年に消えた、魔導騎士の発案者」

 

('A`)「はっ! 虐殺兵器の開発者、の間違いだろ?」

 

( ・∀・)「ああ……その通りだ。やはりヴィップは、いや、なんでもない……。

      クール様はお元気か? お変わりは?」

 

 しかし、モララーはドクオに遮られる。

 

 

113 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/30() 01:16:39.84 ID:FMuNQq0V0

 

('A`)「よもやま話はいらねえ。聞きたいのは、この先のことだ。

    おっと。どうしてお前さんが敵国で兵器開発してるかなんて、語りだすなよ。

    見え透いたお涙頂戴なんざ反吐が出る」

 

 釘を刺して、モララーを促した。

 

( ^ω^)「ドクオ」

 

( ・∀・)「いや、構わない。君達の目的は、確かにこの先にある。

      むしろ、目的の物しかないといったところか」

 

('A`)「内部構造と警備を教えろ」

 

 それから、質問が投げかけられ、簡潔な回答が行き来した。

 

( ^ω^)「完全に無人警備なんですかお?」

 

( ・∀・)「それだけ高度な魔術が張り巡らされているということだ。

      盗聴、重量感知、魔力感応、火薬探知。廠内で侵入が発覚すれば、

      全ての出入り口に封印魔法がかかる。その後は警報を聞きつけた兵士が殺到、終わりだ」

 

('A`)「袋のネズミもいいとこだな」

 

( ^ω^)「それじゃ、どうやってモララー博士達は入るんですお」

 

 

114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/30() 01:18:59.05 ID:o0alCEK+0

 

寝るしえん

 

 

115 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/30() 01:19:27.12 ID:FMuNQq0V0

 

( ・∀・)「中で開発が進められていたのは、何かご存知だろう」

 

 言わずもがな、魔と学の成す武の結晶、魔導騎士。

 ブーンとドクオは頷いた。

 

( ・∀・)「では、それが何を動力にしているか知っているかな」

 

('A`)「魔力じゃねーのか」

 

( ・∀・)「そう。魔力もそのひとつ」

 

( ^ω^)「ひとつ? まだ何かあるのかお」

 

(#'A`)「結論を急げ! ぐずが」

 

 ブーンはドクオをたしなめる。

 

( ・∀・)「血と色味のある記憶さ。それも、純度が高いほどいい。

      研究で私はそれを突き止めた。記憶とは、感情とも言い換えられる」

 

( ^ω^)「感情ですかお」

 

( ・∀・)「ああ、厳密には、人の体液の流れから生まれるんだが……」

 

 

116 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/30() 01:20:46.25 ID:FMuNQq0V0

 

 曰く、感情の昂ぶりや沈降は独特の波長を放つらしい。

 

('A`)「昔、どっかの医療特化の国がそんなこと発表したらしいな。

    脳みそ辺りで目に見えないほど小さな粒子が出る、とかよ」

 

( ^ω^)「そういえば抗自白剤訓練でそんな説明を受けたお」

 

( ・∀・)「そう。おおまかな感情は、その粒子の種類から推測できる。

      魔力を当てることで、それを可視化、精製を可能にした」

 

 得られるのは微量ではあるが、と付け加えたモララー。

 

( ・∀・)「ところで、さっきの部屋で心臓を見なかったか?」

 

( ^ω^)「お。びくびくし続けてたのを見ましたお」

 

( ・∀・)「あれは、ヴィップ国の武人の心臓だ」

 

( ゚ω゚)「え?」

 

 

117 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/30() 01:23:19.13 ID:FMuNQq0V0

 

 ブーンが青ざめた。

 ドクオでさえ、怒りの表情を一転させた。

 

( ・∀・)「要は、心の臓が送り出す血液。武の道を歩む者は、それに不可解な力を宿す。

      魔力とは別種でいて、近しく、目には見えない。戦闘のセンスはそれに起因する」

 

 なおもモララーは続ける。

 

( ・∀・)「抽出は生体からできれば良いが、なかなかそれも難しい。

      だから、戦争で出た死体から取り出した心臓を使っているのさ」

 

(;゚ω゚)「僕の、仲間の心臓を?」

 

( ・∀・)「ニューソクよりもヴィップの兵の方が資質に恵まれているんだ。

      薄めたとしても、有用なんだよ。強力な魔導騎士を作るためにはね」

 

('A`)「てめえは救われねえヤツだな。まともな死に目に会えねえぞ」

 

( ・∀・)「分かってる……。分かっているんだよ……」

 

 モララーは、笑った。

 涙を流しながら。

 

( ;;)「でも仕方ないんだ。やるしかなかったんだよ。私は。ははははは。

      私は、あはは、手を汚して! それでも守りたいものがあったんだよ!」

 

 

118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/30() 01:26:37.22 ID:hH2g9HoEO

 

支援

 

 

119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/30() 01:26:50.77 ID:khVogTWF0

 

おもすれー

支援

 

 

120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/30() 01:28:39.26 ID:L0z6YGEYO

 

支援

 

 

121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/30() 01:34:53.07 ID:85fqe1ggO

 

初支援!!

 

 

122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/30() 01:35:36.25 ID:0GHrY8vvO

 

支援

 

 

123 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/30() 01:35:46.21 ID:FMuNQq0V0

 

 妻が!

 子供が!

 家族!

 旧い友人!

 

 目前で腕をもがれ、脚を斬られ!

 耳は削がれ、片目はえぐられ!

 それでも皆生かされて!

 どうしたら良かったんだ!?

 結果を出さないと彼らが痛めつけられる!

 逃げられるわけないだろう!?

 

 あはあははははははははははははははは

 

 ああああああああああああああ!!

 

 

 彼の叫びは、防音の障壁に吸い込まれる。

 ブーンはドクオの肩を叩き、一度、その結界から外に出た。

 ドクオは何も言わずに従う。

 

 涙にまみれて頭をかき乱す。

 床に頭を打ち付ける。

 腕を、顔を爪で掻く。

 

 そんなモララーから、二人は黙って、顔を背けた。

 

 

124 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/30() 01:39:33.47 ID:FMuNQq0V0

 

('A`)「おい、続きはまだ話せるか」

 

 孤独な懺悔を見届けると、ドクオは問いかけた。

 その声は先ほどより柔らかいトーンだった。

 

(  )「ああ……すまない。時間を無駄にさせた」

 

( ^ω^)「それで、動力源がどういう関係があるんですお」

 

( ・∀・)「みっつの要素を混合、凝縮、固形化したものが核となる。

      それが、これだ」

 

 モララーが指にあるもの二人に見せる。

 見る角度によって色を変える、美しい石のついた指輪だ。

 

('A`)「随分小さいな」

 

( ・∀・)「魔導騎士達の胸にはこれより大きなものが内臓されている。

      私のこれは、いわば警備撹乱用の鍵さ。働く学者は皆これを着けている」

 

( ^ω^)「撹乱……。つまり、格納されてある魔導騎士に偽装できるのかお」

 

( ・∀・)「魔術は対象を明確に限定した場合、より強い効果を発揮する。

      ここは対人用魔法に溢れているんだ。必ず、なんらかの感情の色を看破される」

 

 

125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/30() 01:43:05.28 ID:Iwx1v7RAO

 

まだ支援

 

 

126 名前: s7L3t1zRvU 2009/03/30() 01:43:58.59 ID:FMuNQq0V0

 

('A`)「逆にその色とやらがなければ、全く見つからない、と」

 

( ・∀・)「少なくとも、混在したエネルギーに包まれている限りは」

 

 防音障壁の光が徐々に弱まってきた。

 同様に目くらましの魔術も薄まっている。

 ブーンはフラスコを振って、魔法液が残り少ないことを確認した。

 

( ・∀・)「クール様の魔術。この蒼い光。懐かしい感覚だ」

 

('A`)「会いたいか」

 

 いや、とモララーは答える。

 

(  )「こんな私が会う資格などない」

 

( ^ω^)「……戦争は僕達が食い止めますお。モララー博士。

       絶対に、助けに来ますお。そうしたらまた会えますお」

 

('A`)……そろそろ行くぞ」

 

 目元を潤ませたモララーに背を向けたドクオは、寂しげな表情をしていた。

 そこで、唐突に待てが入る。