( ・∀・) 塔の魔法使いのようです(゚、゚トソン

 

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 18:46:54.01 ID:qTYXuSkM0

*ω^)「正座して待っててくださいお!」

 

 

2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 18:49:10.95 ID:NbaX0VQx0

正座して支援

 

 

3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 18:49:36.02 ID:1ivPd2L90

正座しながら期待

 

 

4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 18:50:53.48 ID:MCxcumna0

>>1

代理スレたてありがとうであります!!

 

忍法帖のお陰で投下がゆっくり&猿が怖いですが、投下を始めます

 

 

5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 18:51:31.74 ID:9T3Fu/eZ0

正座支援

 

 

6 :( ・・) 塔の魔法使いのようです(゚、゚トソン:2011/03/29() 18:52:14.74 ID:MCxcumna0

――――ギィ

 

―――――ィイイイイイ

 

――――――……コッコッコッコッコ

 

――――――――イイイイイイィィィ……

 

―――――――――バタン

 

 

( ・∀・)「……暗いなぁ」

 

( ・∀・)「外観も普通の塔なら中も至って普通だ」

 

( ・∀・)「コレが本当にあの『塔』なのか?」

 

( ・∀・)「……階段がある。壁に沿って螺旋になってるな」

 

( ・∀・)「登ろう。僕はそのためにここに来た」

 

 

7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 18:52:38.57 ID:eP6M/X/r0

 +   ∧_      +      +

    (0゚・∀・) ドキドキ    。

  oノ∧つ⊂)     +

  ( (0゚・∀・) ワクワク     。

  oノ∧つ⊂)     +   +    。

  ( (0゚・∀・) テカテカ     。

  oノ∧つ⊂)        。

  ( (0゚・∀・) ワクワク     +

  oノ∧つ⊂)       。

  ( (0゚・∀・) テカテカ      +

  oノ∧つ⊂)

  ( (0--) ワクワク +

  ∪( ∪ ∪            。

    と__)__)

 

 

8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 18:52:45.27 ID:5awfDqVKO

正座

 

 

9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 18:53:27.64 ID:MCxcumna0

登ろう。僕はこのためにここに来た。

 

誰もが怖がる魔法使いの塔。誰もが嫌いな魔法使いの塔。

 

こんな塔、みんな嫌い。ここに住む魔法使いも、みんな嫌い。

 

だけど誰かがならなくちゃ。だけど誰かがやらなくちゃ。

 

誰かが『魔法使い』にならなくちゃ、きっと今より涙が溢れる。

 

きっとこの国、涙で沈む。

 

だから誰かがならなくちゃ。だから僕がならなくちゃ。

 

誰もが嫌いなこの塔の、誰もが怖がる魔法使い。

 

やらなくちゃ。やらなくちゃ。やらなくちゃ―――。

 

 

 

10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 18:53:35.60 ID:PAw5+tcN0

静座支援

 

 

11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 18:53:51.35 ID:8KrZZVCQ0

きめえ流れだな

さらにきめえしゃべくりの作者だ

ブーン系を舐めるなよ!

 

 

つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね

つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね

つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね

つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね

つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね

つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね

つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね

つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね

つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね

つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね

つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね

つまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんねつまんね

 

 

12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 18:54:45.12 ID:MCxcumna0

( ・∀・)「……階段終わりっと」

 

( ・∀・)「この扉の向こうに『魔法使い』がいるのかな」

 

( ・∀・)「……」

 

( --)。o……今更何を怖がる僕は。だってあの日決めたじゃないか)

 

( --)「……

 

( --)「……僕が、やらなくちゃ」

 

(      )『怖いかね』

 

(; ・)「……っ!」ビクッ

 

 

13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 18:54:52.70 ID:NbaX0VQx0

支援

 

 

14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 18:55:08.14 ID:WAZqHLPO0

あぁん?

 

 

15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 18:55:49.94 ID:PAw5+tcN0

支援る

 

 

16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 18:56:39.05 ID:MCxcumna0

(      )『かつての私もそうだった。君と同じ怖がりだ。だけど今じゃこの塔に、馴染んでしまって数十年』

 

(      )『実に長く儚い日々だった。無為だと言い換えてもいい。無駄だと吐き捨ててもいい』

 

(      )『だが君は自らの足でここまで来たのだろう? 自分に追い立てられてここまで来たのだろう』

 

(      )『ならばお入り、人の子よ。かつての私も――そうだった』

 

 

ギィィィイイイ……

 

 

( ・∀・)「なんでもお見通しのつもりかよ。ふざけるなよ魔法使い」

 

( ・∀・)「僕はアンタと違うんだ。変える為に僕は来た」

 

( ・∀・)「だからアンタと違うんだ。無為も無駄も全部変えてやる」

 

 

 

17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 18:57:57.90 ID:MCxcumna0

――コッコッコッコッ

 

――バタンッ

 

( ・∀・)「さぁ、姿を見せろ魔法使い。お前は舞台を降りるんだ」

 

(      )『……代わりの役者はいるのかね』

 

( ・∀・)「僕がなるんだ魔法使い。あんたの変わりに僕がなる」

 

(      )『つらいぞ』

 

( ・∀・)「分かってる」

 

(      )『悲しいぞ』

 

( ・∀・)「分かってる」

 

(      )『怖いぞ』

 

( ・∀・)「分かってる」

 

(Ф    )『それでも……

 

ミ( ФωФ)「それでもなるか魔法使い」クルッ

 

( ・∀・)「ああ、そのために僕は来た」

 

 

18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 18:58:24.84 ID:otukQZaJ0

一瞬塔の魔術師と悪魔のようですが帰ってきたのかと思った

 

支援

 

 

 

19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 18:59:14.15 ID:MCxcumna0

 

 

 

 

 

 

 

 

                塔の魔法使いのようです

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:00:33.42 ID:MCxcumna0

***

 

 

塔の天辺にある部屋は、半球状だった。

プラネタリウムみたいに天井がきゅうと丸くなっていた。

 

部屋の真ん中には巨大な天体望遠鏡のような機械がでんと居座っていて、その先っぽは天井を突き破って塔の外へと穂先を伸ばしていた。

壁一面に本棚が置かれていて、どの本棚にもぎゅうぎゅうになるまで分厚い本が詰まっている。

 

しかしそれでも本棚が足りていないのか、床のあちこちに博物書だとか見たことも無い文字の書いてある本が塔を作っていた。

 

僕は魔法使いと対峙している。

 

部屋の真ん中の巨大な天体望遠鏡のような機械の前に、みすぼらしいローブを着た魔法使いが立って扉の前の僕を見つめている。

全てを悟っているようで、何も知らない赤ん坊のような、澄んだドブのような双眼が僕をただじっと見ていた。

 

意外にも背筋はしゃんとしていて、あの絵本に描かれている腰の曲がったよぼよぼの爺さんという普遍的な想像図とは違っていた。

ただ全身から漂う虚脱というか諦念というか、そういうあまり浴びてはいたくない雰囲気が、部屋全体の空気を重くしているようだった。

 

僕は一歩踏み出して魔法使いに話しかける。

 

 

21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:01:49.76 ID:MCxcumna0

( ・∀・)「さぁ、交代してくれ。アンタはもういらないんだ。国中の皆がそう言っている」

 

( ФωФ)「国、か。今はどのくらい残ってるんだ?」

 

( ・∀・)「アンタがそれを聞くのか? 怖くないの? それとも開き直ってるだけ?」

 

( ФωФ)「ついぞ塔の外に出ないものでね。この塔以外の日常を私は知らないのだ」

 

( ・∀・)「……五千万人」

 

( ФωФ)「……私が魔法使いになってからざっと半分か」

 

( ・∀・)「それもここ三年でね」

 

( ФωФ)「そうだろう。三年だ。三年前からおかしくなったのだ」

 

( ・∀・)「そうだ、三年前までアンタは守護者だったんだ。人柱だったかもしれないけど、確かにみんなアンタを信じてた。

      王様も、お姫様も、僕の父さんも母さんも妹も、みんなアンタを信じてたんだ」

 

( ФωФ)「……」

 

( ・∀・)「それが、なんで」

 

( ФωФ)「『向こうの魔法使い』が代ったのだ。もっと強い、私よりも強い魔法使いに代ったのだ」

 

( ・∀・)「……そうじゃないかって、誰もが言ってた。向こうが強くなって、こっちが弱くなったって。

      でもだれもそれを確かめには行かなかった。塔が、魔法使いが怖いから。

      だからずっと震えてた。死ぬのも怖いし、アンタも怖いって」

 

 

22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:01:52.22 ID:kd/dayjN0

支援

 

 

23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:03:32.79 ID:MCxcumna0

( ・∀・)「でもさ」

 

( ・∀・)「そんなことやってたら死んじゃった」

 

( ・∀・)「父さんも」

 

( ・∀・)「母さんも」

 

( ・∀・)「ヘリカルも」

 

( ・∀・)「ミセリも」

 

( ・∀・)「みんな死んだ」

 

( ФωФ)「……すまない」

 

( ・∀・)「……うるさいよ。もういいよ。早く代ってアンタは死んでよ」

 

( ФωФ)「そうだな、そうしよう」

 

 

 

 

24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:04:52.66 ID:uPveCPX90

支援

 

 

25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:05:02.32 ID:NbaX0VQx0

支援

 

 

26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:05:08.11 ID:MCxcumna0

( ФωФ)「だが、今はダメだ。準備がいる。明日の夜まで待ってくれ」

 

( ・∀・)「……」

 

( ФωФ)「地下に私の部屋がある。今日はそこに泊まるといい。明日はそこが君の部屋だ」

 

( ・∀・)「……わかった」

 

( ФωФ)「それと、寝る前にコレを飲んでおけ。お前に『魔法使い』を定着させる薬だ」

 

( ・∀・)「……」パシッ

 

( ФωФ)「それと、魔法瓶の中にホットミルクが入っているから眠れなかったらそれを―――」

 

 

――ギィ、バタン

 

 

( +ω+)「……やれやれ」

 

 

 

 

27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:06:28.52 ID:MCxcumna0

***

 

 

むかしむかしのお話です。

 

とおいとおいお話です。

 

王様の国と皇帝様の国が喧嘩をしていました。

 

海を挟んで睨み合い、船や飛行機で傷付け合いました。

 

沢山の人が死にました。一つの国が出来るくらいの人が死にました。

 

それでも王様も皇帝様も喧嘩をやめません。

 

喧嘩の理由を忘れても、次の王様と皇帝様になっても

 

ずっと喧嘩を続けました。

 

『イタイ……イタイ、イタイ……』

 

街中でも、村はずれでも、山でも、海でも

 

全部その声で溢れてしまいました。

 

『イタイ……イタイ、イタイ……』

 

 

28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:06:52.22 ID:kd/dayjN0

面白そうだ

 

支援

 

 

29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:07:51.00 ID:MCxcumna0

 

 

 

 

 

 

              痛い、痛い、痛い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:09:07.99 ID:MCxcumna0

それを見かねた神様は、二つの国の先っぽにそれぞれ塔を建てました。

 

塔の天辺にはとても大きな、大きな大砲が付いていました。

 

それぞれ海の向こうの見えない国を狙っていました。

 

神様は言います。

 

「いっぱいの兵隊で、いっぱいの武器で、いっぱい殺すのはやめなさい」

 

「一人の魔法使いで、一つの塔を使って、いっぱい殺しなさい」

 

それから王様の国と皇帝様の国は、いっぱいの兵隊で、いっぱいの武器を使って、いっぱい殺すのはやめにして

 

一人の魔法使いで、一つの塔を使って、いっぱい殺すようにしました。

 

でも、それは出来ませんでいた。

 

神様は嘘をついていました。

 

海をはさんだ二つの塔は、互いに互いを狙うことしか出来ませんでした。

 

 

 

どーん、どーん

 

 

 

二つの塔から魔法の弾が飛び出します。

 

 

31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:10:33.47 ID:MCxcumna0

その二つの魔法の弾は海の真ん中でぶつかり合い、とても綺麗な花火になりました。

 

神様は言います。

 

「その魔法の弾は、塔の魔法使いの心なんだよ」

 

「護りたいと思うから、誰も殺さないで綺麗な花火になったんだよ」

 

「本当はみんな殺したくないんだろう。さぁ今すぐ喧嘩をやめて、みんなで綺麗な花火を見ようじゃないか」

 

王様の国も皇帝様の国も、本当はもう疲れていました。喧嘩をやめたいと思っていました。

 

でも向こうが殺しに来るから、護らなきゃ、護らなきゃと思って、向こうを殺していたのです。

 

花火を見て、二つの国はその気持ちに気付きました。

 

仲直りしたわけじゃなかったけど、同じ気持ちであることに気付きました。

 

「そうか、僕達は殺したいんじゃなくて、護りたかっただけなんだ」

 

いっぱいの兵隊は、いっぱいの武器を手から落として、いっぱいの涙を流しました。

 

 

 

32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:10:47.97 ID:1ivPd2L90

支援

 

 

33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:12:12.97 ID:MCxcumna0

 

 

 

どーん、どーん

 

 

 

二つの国真ん中で、花火はいつまでも上がります。

 

 

 

どーん、どーん

 

 

 

二つの国の先っぽに、魔法使いの塔がある限り

 

 

 

どーん、どーん

 

 

 

二つの国の真ん中に、綺麗な花火がある限り

 

彼らはきっと護るでしょう。大事な人を護るでしょう。

 

むかしむかしのお話です。

 

とおいとおいお話です。

 

 

34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:13:28.68 ID:MCxcumna0

( ・∀・)「……」

 

僕はベッドの横に置いてある小棚の上から一冊の絵本を手に取った。

 

ゴミみたいな内容の絵本だった。

 

こんな糞くだらない絵本でさえ、僕の心は深く抉られる。

なにが魔法の塔だ。なにが、護りたい、だ。

 

むしゃくしゃして部屋の隅にその絵本を投げ出した。

 

結局ただの綺麗事。

所詮ただのむかし話。

 

現実、この塔は代理戦争の道具でしかなかった。

 

この塔はどんな思いでも強ければ強いだけ魔法の弾を大きくする。

確かにあの戦争の頃の疲れきった二つの国の魔法使いは、同じだけの心の強さしか持ち合わせていなかったかもしれない。

 

「この国を護りたい。大切な人を護りたい」

 

どうやって選ばれたかは分からないけど、二つの国の二人の塔の魔法使いは

同じくらい護りたくて、同じくらい疲れてた。

 

たしかにその思いは同じくらいで、だから綺麗な花火になった。

 

 

35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:13:58.51 ID:kd/dayjN0

支援

 

 

36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:14:59.47 ID:MCxcumna0

でも、両国が平和になるにつれて、また『欲』が沸いてきた。

 

全部魔法使いのせいにして、また侵略戦争始めちゃおうか。

魔法使いの塔は神の塔。上手く使えば楽に殺せる。

どうする。どうする。

 

殺す?

侵す?

 

そして『恨み』も沸いてくる。

 

よくも私の家族を、友を、国を!!

殺せ! 復讐だ! 決して許すな!

返せ! 返せ! 返せ!

 

そしてなにより単純な『恐怖』が国を包んでいった。

 

向こうにもあるんだ魔法使いの塔

向こうにもいるんだ塔の魔法使い

神が与えた魔法の塔

神が選んだ魔法使い

 

怖い、怖い、怖い。

もし、こっちの塔が動かなくなったら。

もし。こっちの魔法使いが弱くなったら。

簡単に殺されてしまうの?

簡単に侵されてしまうの?

 

だったら、ならば、それならば――――。

 

 

37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:16:13.02 ID:NbaX0VQx0

支援

 

 

38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:16:17.88 ID:MCxcumna0

均衡は崩れた。

 

二つの国はより強い魔法使いを塔に入れるようにした。

向こうより先にあの塔を、魔法使いを殺すんだ。

 

こうして、魔法使いの塔は何よりも強大な軍事力として使われるようになった。

 

二つの国の真ん中の海でぶつかりあう魔法の弾は、散弾銃の様に弾けとび、互いの国土を消していった。

当然より強い欲や恨みを持つ魔法使いが塔を使った方が、より多くの人間を殺せる。

 

こうして二つの国はまた戦争を始めた。

 

前のようにいっぱいの兵隊で、いっぱいの武器を使って、いっぱい殺すのではなく

塔の魔法使いにまかせっきりの、責任逃れの代理戦争。

相手の国民を殺したのは魔法使い、こっちの国民が死ぬのも弱い魔法使いのせい。

 

こうして二つの国の『塔の魔法使いによる代理戦争』は続いた。

 

いや、続いている。

 

今も、続いている。

 

全部、全部塔の魔法使いのせいにして

魔法使いの塔にも魔法使いにも脅えながら

 

まだ、続いている。

 

 

39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:18:04.13 ID:MCxcumna0

( --)。o(僕の街も消えた。魔法の弾の欠片が流星のように降り注いで、ノートの上の文字が消しゴムで消されるみたいに

        何の抵抗も無く、ただ淡々と、消えた)

 

( --)。o(僕だけが、生き残った。理由は分からないけど、僕だけが焦土の真ん中にぽつんと突っ立っていた。

       みんな死んだのに、僕だけが)

 

( --)。o(はじめは頭の中がごちゃごちゃしてて、悲しいのか怒ってるのかわからなかったけど、居場所も無かったから……

 

( --)。o(早く魔法使いになりたい……

 

( --)。o(復讐だとか愛国心だとか、そういうんじゃないけど)

 

( --)。o(自分だけ、『取られた』ままなのは――嫌なんだろうな)

 

( --)。o(女々しい奴だよ僕は)

 

僕は魔法使いに渡された小瓶のふたを開けた。

 

中には黄色みがかったトロトロの液体が詰まっていた。

 

小瓶のふちに口をつける。一瞬の逡巡。

 

飲めば、恐らく戻れない。

 

 

 

40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:19:31.14 ID:MCxcumna0

――――だから、どうしたというのだ。

 

飲み干す。

 

一切の味は無く、ただただ不愉快な舌触りだけが口の中に残った。

なんの味も無いのに粘度のある液体は、存外マズイ事を知った。

 

中身の無くなった小瓶を、先ほどの絵本と同じように部屋の隅に投げつける。

ぱりんと音がして小瓶はいくつもの欠片にわかれた。

 

( --)。o(多分、こんなものなんだろうな)

 

小瓶の欠片は部屋の隅で、てらてらと蝋燭の光を反射している。

案外、簡単に壊れてしまうものなのだろうな。

 

小瓶も、国も、僕自身でさえも。

 

案外、簡単に。

 

ベッドのふちに腰掛けていた僕は、そのままベッドに体を投げ出した。

そして毛布に包まって、なんとなく二度と目が醒めなければいいと思いながら深く沈んでいった。

 

人間として眠る最後の夜。

 

塔の魔法使いとして始まる最初の夜。

 

おやすみ、僕。

 

 

 

41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:21:06.35 ID:MCxcumna0

***

 

―――……ぇ

 

――――……ねぇ

 

―――――ねぇ

 

( ・∀・)「……っ!」

 

(゚、゚トソン「ねぇ、寝ながら、起きて、ねぇ」

 

( ・∀・)「……」

 

(゚、゚トソン「起きました? 寝てますか?」

 

( ・∀・)「起き……た?」

 

(゚、゚トソン「知らないです、聞かないで」

 

( ・∀・)「だって、こんなの」

 

(゚、゚トソン「泣き言言わないで。貴方、新しい『向こうの塔の魔法使い』でしょ?」

 

 

 

 

42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:23:01.87 ID:MCxcumna0

( ・∀・)「ここ、どこ? 真っ暗で」

 

(゚、゚トソン「私と貴方しか、見えない」

 

( ・∀・)「君と僕しか、いない」

 

(゚、゚トソン「そうです。ここはそういう所なの。夢の奥の底の更に下。夢の根元が私達の居場所」

 

( ・∀・)「君は『向こうの塔の魔法使い』?」

 

(゚、゚トソン「そう」

 

( ・∀・)「どうなってるの?」

 

(゚、゚トソン「何も知らないんですね」

 

( ・∀・)「……だって」

 

(゚、゚トソン「いいです。教えてあげます。恐らく貴方、薬飲みましたね。それのせいです。

     あの薬、向こうの塔の魔法使いと夢の根元で出会える薬」

 

( ・∀・)「は?」

 

(゚、゚トソン「二人しかいない塔の魔法使いを夢の根元で出会わせる薬なんです。あれ」

 

 

 

43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:24:18.85 ID:MCxcumna0

( ・∀・)「なんで?」

 

(゚、゚トソン「なんで、とは?」

 

( ・∀・)「なんで、出会う必要があるの?」

 

(゚、゚トソン「知りません。あの薬は塔を作った神様がくれたものですから」

 

( ・∀・)「神様は推し量れない?」

 

(゚、゚トソン「そうですね。分かりません。仮に神様がここに現れて逐一説明に答えてくれたとしても、奴が口を開く前にぶち殺します」

 

( ・∀・)「こんな世界にしやがって?」

 

(゚、゚トソン「そう」

 

( ・∀・)「こんな世界にしやがって」

 

(゚、゚トソン「こんな世界にしやがって」

 

 

44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:26:10.99 ID:uPveCPX90

支援支援

 

 

45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:26:15.11 ID:eP6M/X/r0

支援

 

 

46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:28:54.33 ID:MCxcumna0

( ・∀・)「君、面白いね」

 

(゚、゚トソン「貴方も」

 

( ・∀・)「……今の僕の国の魔法使いとも、こんな風に話してたの?」

 

(゚、゚トソン「いいえ」

 

( ・∀・)「なんで?」

 

(゚、゚トソン「嫌いだからです」

 

( ・∀・)「なんで?」

 

(゚、゚トソン「三年前に、殺したから」

 

( ・∀・)「誰を?」

 

(゚、゚トソン「にいさん」

 

( ・∀・)「そうか、そういえば、僕の家族も、君に殺されたことになるのか」

 

(゚、゚トソン「そうなんですか」

 

( ・∀・)「そうなんです。だから僕、君が嫌いだ」

 

 

 

 

47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:31:19.43 ID:1ivPd2L90

支援

 

 

48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:31:37.33 ID:6NdoRmlp0

俺も魔法使い志望です

仲間に入れて下さい

 

 

49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:33:30.53 ID:otukQZaJ0

しえ

 

 

 

50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:33:43.11 ID:MCxcumna0

(゚、゚トソン「私は、そんなに嫌いじゃないですよ」

 

( ・∀・)「明日、殺す」

 

(゚、゚トソン「多分無理です。貴方より私の方が強いです」

 

( ・∀・)「殺す」

 

(゚、゚トソン「多分明日のこの時間、私達は夢の根元でまた出会ってますよ」

 

( ・∀・)「さよなら」

 

(゚、゚トソン「また、明日」

 

 

光の差し込まない地下室で、いつの間にか消えた蝋燭を恨みながら

嫌な汗びっしょりで僕は静かに目を醒ました。

 

殺してやる。

 

 

 

 

51 :糞回線なんでちょくちょく繋ぎなおされIDが変わりますが、私がお送りします:2011/03/29() 19:39:13.59 ID:Pf6VZ4rC0

ギィ、バタン

 

( ・∀・)「起きたよ」

 

( ФωФ)「そうか、よく眠れたか」

 

( ・∀・)「無理だった」

 

( ФωФ)「ホットミルクを飲めばよかったのに」

 

( ・∀・)「それでも多分ダメだったよ。夢の根元で起こされたから」

 

( ФωФ)「……っ! お前、向こうの塔の魔法使いに逢ったのか」

 

( ・∀・)「ああ、あった。嫌な、女だった」

 

( ФωФ)「そうか、私は一度しか会った事がないから、少し驚いてな」

 

( ・∀・)「あんたのこと嫌いだって」

 

( ФωФ)「はは、それはまた。知らぬところでフラれたか」

 

( ・∀・)「あんたにお兄さんを殺されたって言ってたよ」

 

( ФωФ)「……?」

 

( ・∀・)「なんで不思議そうな顔をする」

 

 

 

52 >>51ちょこっと修正:2011/03/29() 19:40:55.62 ID:Pf6VZ4rC0

***

 

 

ギィ、バタン

 

( ・∀・)「起きたよ」

 

( ФωФ)「そうか、よく眠れたか」

 

( ・∀・)「無理だった」

 

( ФωФ)「ホットミルクを飲めばよかったのに」

 

( ・∀・)「それでも多分ダメだったよ。夢の根元で起こされたから」

 

( ФωФ)「……っ! お前、向こうの塔の魔法使いに逢ったのか」

 

( ・∀・)「ああ、あった。嫌な、女だった」

 

( ФωФ)「そうか、私は一度しか会った事がないから、少し驚いてな」

 

( ・∀・)「あんたのこと嫌いだって」

 

( ФωФ)「はは、それはまた。知らぬところでフラれたか」

 

( ・∀・)「あんたにお兄さんを殺されたって言ってたよ」

 

( ФωФ)「……?」

 

( ・∀・)「なんで不思議そうな顔をする」

 

 

53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:42:40.67 ID:Pf6VZ4rC0

( ・∀・)「……は?」

 

( ФωФ)「私は塔の魔法使いだが、人を殺したことは、ない」

 

( ・∀・)「何を言ってるんだ?」

 

( ФωФ)「いや、確かに『護れなかった』という意味では沢山殺した。君の家族も私が殺したといえばそうなるだろう」

 

( ・∀・)「……」

 

( ФωФ)「だが、少なくとも私の撃ち出した魔法の弾で『向こう』の人間が死んだことはないはずだ」

 

( ・∀・)「それは、あんたが弱いから」

 

( ФωФ)「そうだ、だが三年前はそうではなかった」

 

( ・∀・)「どういう事だ?」

 

( ФωФ)「話し合っていたのだ。向こうの塔の魔法使いと、夢の根元で」

 

( ・∀・)「あの女に代る前の?」

 

( ФωФ)「そうだ、男の魔法使いだった。厭世家というか、優男というか、何故魔法使いになったかも分からぬようなそんな男だった」

 

( ФωФ)「私はその男と話し合った。この馬鹿げた代理戦争による犠牲者を減らすために、何が出来るのかを」

 

( ФωФ)「そして一つの結論に行き着いた」

 

 

54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:43:57.63 ID:Pf6VZ4rC0

( ФωФ)「我々が長引かせればいいのだ。均衡状態を。同じくらいの力を持っていると演じ続ければいい」

 

( ・∀・)「三年前まで、そうしてた?」

 

( ФωФ)「そうだ。我々は互いに調節し合って魔法の弾を撃った。誰も見てはいなかったろうが海の真ん中でしっかりと花火になっていた」

 

( ФωФ)「だから、とりあえずは平和だったのだ」

 

( ・∀・)「たしかに、僕が生まれてから三年前までは平和だった」

 

( ФωФ)「そして三年前からは、私はどんなに頑張っても向こうの塔の魔法使いに勝つどころか相打ちすら狙えないようになった」

 

( ・∀・)「魔法使いが、あの女に代ったから」

 

( ФωФ)「そうだ。だから、私の魔法の弾は、一度も向こうの国土に到達していないはずなのだ」

 

( ・∀・)「こっちの国にはあんたの魔法の弾とぶつかって欠片になった魔法の弾がいくつも降り注いだけどな」

 

( ФωФ)「砕いていなければ、この塔は一瞬で破壊されていた。そうなれば、次の弾がこの国を消していただろう」

 

( ・∀・)「こんな塔を護るために、いくつもの街や村を消してきたのか」

 

( ФωФ)「そうだ」

 

 

55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:46:34.78 ID:Pf6VZ4rC0

( ・∀・)「……殺してやりたいよ。なにが正しくてとかそんなものはわからない程僕の中はぐちゃぐちゃだけど、あんたも、あの女も死んでしまえ」

 

( ФωФ)「……ともかく、護ることに精一杯で、それゆえ私はこの塔を使っては誰も殺していないはずなのだ」

 

( ・∀・)「もう、いいよ。あの女もあんたも昔話もどうでもいい」

 

( ФωФ)「そうだな、今となってはどうでもいいか。すまない年を取ると昔話をしたくなるものなのだ」

 

( ・∀・)「さぁ、交代しろ。僕があんたに代って魔法の弾を放つ」

 

( ФωФ)「嗚呼、解っている。私も、これで降板だ」

 

 

 

 

56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:47:33.86 ID:NbaX0VQx0

どういうことなんだ……

 

 

57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:48:12.05 ID:Pf6VZ4rC0

言葉にならない思いが僕の中に渦を巻いていた。

目の前の男は『護っていた』。

『護りながら』、『殺していた』。

 

果たしてそれは罪なのか。護りきれなかった事は悪いこと?

 

確かに男が強ければ、僕の家族は、みんなの家族は死ななかった。

 

でも、男が強ければ、向こうの国は、向こうの家族は死んでいた。

 

護ろうとして、護りきれなくて。

 

じゃあ、本当に殺したのは誰なんだ。

 

――――わかってる。

 

わかってるけど、割り切れない。

 

こんな僕を、誰か解ってくれ……。

 

 

58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:49:35.01 ID:Pf6VZ4rC0

***

 

 

僕は魔法使いに、塔の使い方を教わった。

 

非常に簡単だった。巨大な大砲に備え付けられた椅子に座って、強く何かを思うだけ。

こんな簡単な、単純な、取り立てて特徴のない行為で人が沢山死ぬのか。

 

起動するには決められた時間があり、その時間内でしか塔は動かない。

起動する時間には塔についてる鐘楼が鳴る。

それが鳴ったら椅子に座って、魔法の弾を撃ち出す。

 

どちらかの塔が壊れるまで、撃ち出す。撃ち出す。撃ち出す。

 

それを繰り返す。

 

それだけ。

 

 

 

59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:51:09.67 ID:Pf6VZ4rC0

( ФωФ)「これだけだ」

 

( ・∀・)「なんとも、まぁくだらない」

 

( ФωФ)「そんなものだ。シンプルなものほど恐ろしいものだ」

 

( ・∀・)「ともかく鐘が鳴れば僕は魔法使いになる訳だ」

 

( ФωФ)「そうだ、そして私は舞台を降りる」

 

( ・∀・)「……降りたらどうする? 自殺か?」

 

( ФωФ)「そうだな……それもいいかもしれない」

 

( ・∀・)「僕が殺してやろうか」

 

( ФωФ)「そうだな……それもいいかもしれない」

 

( ・∀・)「……」

 

( ФωФ)「そうなだ……恐らく私は疲れてしまったのだ。お前が来たことでそれを自覚した。私は、確かに疲れていた」

 

( ・∀・)「護り疲れた? 殺し疲れた?」

 

 

60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:52:25.93 ID:Pf6VZ4rC0

( ФωФ)「背負い込めなくなったのだ。人の命を軽く感じるようになって、己の業が背負い込めなくなった」

 

( ФωФ)「初めて私が人を護れなかった日。三年前のあの日、あんなに泣いて、喚いて、悔やんで、叫んだのに」

 

( ФωФ)「今では眉一つ動かない。嗚呼またどこかで街が消えるのだなと、漠然と、遠い世界の出来事のように感じるだけだった」

 

( ФωФ)「人の命を背負おうとするのをどこかで辞めたのだ。義務感とか後悔とかそんなものが大して役に立たないことを理解してしまった」

 

( ФωФ)「まるで自分の行為全てが自分の知らないどこかの誰かが勝手にやっていることのように感じていた」

 

 

 

61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:54:06.93 ID:Pf6VZ4rC0

(   ωФ)「……疲れていたのだ」

 

(   ωФ)「十数年前に抱いていたのはきっと、もっと、ずっと、素晴らしく輝いていた、それこそ希望のようなものだったのに」

 

(   ωФ)「いつから私は土くれを己の腕いっぱいに抱いていたのか」

 

(   ωФ)「私が舞台を降りるときは、きっといっぱいの花束が渡されると思っていた」

 

(   ωФ)「沢山の観客と、盛大な拍手に包まれて、そうやって終われると思っていた」

 

(   ωФ)「だがどうだ、目の前に入るのは殺意に囚われた少年だけではないか!!」

 

(   ωФ)「しかもその殺意も私が育てさせたようなものだ! 私が魔法使いになって得たものは、現実は、君なのだ!」

 

(   ωФ)ク……ククク……ハ、ハハハ……

 

(   ωФ)「私は、人は、特別な、それこそ魔法使いのように、強くなれる気でいたのだ」

 

(   ω  )「その実どうだ、私は、何も……

 

 

62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:54:12.22 ID:uPveCPX90

支援だ

 

 

63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:54:46.27 ID:3J0BOLbkO

しえん

 

 

64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:56:19.40 ID:Pf6VZ4rC0

 

魔法使いを辞めた男は、それから静かに泣いていた。

僕は声をかける気にはなれなくて壁の本棚から一冊、くだらない、内容もわからない本を引き出して読んでるふりをした。

 

それから数時間、男の嗚咽と僕のページをめくる音だけが、静かに大砲に反射し続けた。

 

結局、その日鐘が鳴ることは無かった。

 

ただの人になった魔法使いは、

 

(   ω  )「とりあえず君が魔法の弾を撃つ日まではこの塔にいさせてくれ」

 

と言い、僕の部屋とは違う地下室に閉じこもった。

 

僕は僕で部屋に閉じこもり、どうせ答えも出ないのに、男と、あの女と、僕の家族を順々に思い出しては消していった。

 

そうしている内に眠くなって、僕は静かに瞼を閉じた。

 

 

 

65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:57:45.85 ID:Pf6VZ4rC0

***

 

(゚、゚トソン「やぁ」

 

( ・∀・)「……」

 

(゚、゚トソン「また逢いましたね」

 

( ・∀・)「……鐘が、鳴らなかったから」

 

(゚、゚トソン「貴方も私に会いたかったのでしょう?」

 

( ・∀・)「誰が」

 

(゚、゚トソン「ホントに会いたくなかったら、夢の根元には来れないもの。私と貴方の前の魔法使いのように」

 

( ・∀・)「うるさいな」

 

(゚、゚トソン「何か聞きたいことがおありのようで」

 

( ・∀・)「ないよ」

 

(゚、゚トソン「嘘」

 

(゚、゚トソン「……うそ」

 

( ・∀・)「……」

 

 

66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 19:58:00.37 ID:1ivPd2L90

wktk支援

 

 

67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 20:00:53.39 ID:Pf6VZ4rC0

(゚、゚トソン「……私のにいさん、殺されたんですよ。貴方の前の魔法使いに」

 

( ・∀・)「……あいつは、この塔を使って人を殺したことはないって」

 

(゚、゚トソン「にいさんは人じゃありませんでした」

 

( ・∀・)「は?」

 

(゚、゚トソン「にいさんは魔法使いでした。私の前の魔法使い」

 

( ・∀・)「……っ!」

 

(゚、゚トソン「三年より前、つかの間でしたけど平和を作っていました」

 

( ・∀・)「僕の前の魔法使いと協力して」

 

(゚、゚トソン「そうです。そうですね。少なくとも向こうの魔法使いはそうだったのでしょう」

 

( ・∀・)「あんたのにいさんは違ったと?」

 

(゚、゚トソン「……いえ、同じでした。少しでもこの状態を長引かせようと努力していたようです」

 

( ・∀・)「なら」

 

 

68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 20:02:42.64 ID:Pf6VZ4rC0

(゚、゚トソン「初めての『友達』だったんです」

 

( ・∀・)「……」

 

(゚、゚トソン「にいさんにとって、あの男は友達だったんです。にいさんはそう思っていました」

 

( ・∀・)「多分、あいつもそう思っていたと思うよ。なんとなく、そんな気がする」

 

(゚、゚トソン「そうですか、でも、それはどうでもいいんです」

 

(゚、゚トソン「私の話」

 

(゚、゚トソン「聞いてくれますか」

 

( ・∀・)「……」

 

(゚、゚トソン「私、貴方の事、嫌いじゃないですよ」

 

(゚、゚トソン「優しいんですね」

 

( ・∀・)「うるさいよ」

 

 

69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 20:04:46.86 ID:Pf6VZ4rC0

(゚、゚トソン「……三年前の話です」

 

( ・∀・)「聞きたくない」

 

(゚、゚トソン「厭です。話します」

 

( ・∀・)「なんだか知らないけど同情をひこうとかそういう魂胆なら……」

 

(゚、゚トソン「聞いて」

 

(゚、゚トソン「聞いて」

 

( ・∀・)「……」

 

女はすっと目を伏せると二・三度息を吸ったり吐いたり

そして歌うように目を開けると、僕に背を向け語りだした。

 

 

 

 

70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 20:06:59.53 ID:uPveCPX90

支援

 

 

71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 20:07:28.20 ID:Pf6VZ4rC0

***

 

――――……言葉にするのは、きっと初めてです。

 

誰にも話す気がなかったし、何より私の周りには人がいませんでしたから。

 

ほんの気まぐれ。ただ向こう側の塔の魔法使いが嫌いな奴からそうじゃない貴方に代ったから。

 

それだけが理由で、私は過去を言葉にしようと思います。

貴方は何も感じないでください。ただそういうことが、あった、とそう思ってください。

 

……話します。

 

貴方の王国ではどうだか知りませんが、こっちの帝国では魔法使いは立候補制でした。

 

……いいえ。立候補と言うか、もっと殺したいだとか、護りたいだとか、ともかく今の塔の魔法使いよりも強いという自負を持った人が

勝手に塔に行って、魔法使いを受け継いでいく。そんな感じで魔法使いは続いていました。

 

( ・∀・)「僕のところもそんな感じだよ。現に僕がそうだ」

 

そうですか。

 

あなたは喋っても喋らなくてもいいですけど、出来るなら静かに聞いてください。相槌はいりません。

 

 

72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 20:09:20.15 ID:Pf6VZ4rC0

……続けます。

 

私の前の魔法使いは私のにいさんでした。

 

とても優しい人でした。とても強い人でした。

年の離れた私と、目の弱い母をいつも大切にしてくれていました。

 

でもお金が無かったんです。にいさんは必死に働いていましたが、母の目の薬がとても高かったから、お金が足りませんでした。

にいさんはよく、幼かった私の頭を撫でながら、ごめんねと言いました。何度も何度も。

それがにいさんの弱音だったと気付く頃には、にいさんは魔法使いになっていました。

 

魔法使いになれば、家族にお金が渡されるんです。一生生活できるくらいのお金です。

にいさんは私達、『お荷物』の私達を護るために魔法使いになりました。

 

でも、私達と、向こうの国の名前も知らない誰かを天秤にかけたとして、私達のほうが重いという事は決してなかったんだと思います。

だからにいさんは、全部護ろうとしたんだと思います。それこそ王国と帝国両方を。

 

だからにいさんは貴方の前の魔法使いと協力して、たった十数年でしたけど平和を作っていたんです。

 

 

 

73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 20:11:29.46 ID:Pf6VZ4rC0

本来、この夢の根元では『再確認』が行われていました。

 

口喧嘩と言い換えてもいいです。王国と帝国の魔法使いが、ここであって、

「殺してやる」だとか「死に腐れ」だとかそういう罵詈雑言を相手に投げかけて自らの内に在る欲や恨みを再確認していました。

 

相手よりもより強い心の力がそのまま大砲の威力になりますから、非常に重要な役割があったと言えます。

 

神様の意図は知りませんが、我々愚かな人類にとって、憎き敵を身近に感じ続けることこそ

一番の闘争心向上に繋がったんです。

 

その夢の根元に至る薬を争わないことに使ったのが私のにいさんと貴方の前の魔法使いなんです。

 

( ・∀・)「……」

 

何か聞きたいですか。眼球が落ち着き無いですよ。

 

( ・∀・)「……喋っても?」

 

どうぞ。

 

( ・∀・)「なら、君はどうして僕の前の魔法使いが嫌いなんだ? 二人は協力して平和を作ったんだろ?」

 

 

74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 20:14:11.01 ID:Pf6VZ4rC0

……そうですね。そうなります。

 

でも、誰がそれを望んだんですか?

 

平和を、誰が望んだんですか?

 

少なくとも、帝国では、平和は、望まれていなかった。

 

私のにいさんは「無能」扱いされていました。

連日にいさんの悪口が国中を飛び交いました。

 

敵の『一匹』も殺せない臆病者。

 

それが帝国でのにいさんの評価でした。

 

もちろん、そんなにいさんに代って魔法使いにろうとする人はいっぱい出てきました。

しかし、実際には大砲を起動させることすら出来ず結局その人がにいさん以下であることが証明されるだけでした。

 

強かったんです。にいさんも、貴方の前の魔法使いも。

 

知ってますか? 強い人間ほど力の調節方法を知ってるんです。

魔法の弾を相殺させるように調節する技術を持った魔法使いが弱いはずが無かったのです。

 

 

 

75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 20:20:41.52 ID:Pf6VZ4rC0

……ちょっと話が逸れてますね。戻します。

 

ともかくそんな『無能』のにいさんと、貴方の前の魔法使いは長い間力を調節し合い、平和を維持しました。

 

でも、ここであることが起こります。

 

母が、殺されました。

 

無能のにいさんへの見せしめとして、殺されました。

 

にいさんの所には母の首が届きました。そういう国なんです。

私はどうすることも出来ませんでした。弱かったんです。私の抵抗なんてカス以下のものだったんです。

 

……私の背中見ますか?

 

( ・∀・)「……いいよ」

 

……女の子の背中ですよ?

 

( ・∀・)「……君は僕をどうしたいんだ。惑わすなら、君の話は聞かない」

 

ああ、すいません。

 

 

76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 20:20:49.52 ID:uPveCPX90

支援だ

 

 

77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 20:20:57.59 ID:w6hLh2yP0

四円

 

 

78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 20:22:39.33 ID:Pf6VZ4rC0

なんだか、ちょっと興奮してるみたいです。

本当は思い出したくなかったのかな。変ですね、私。

 

続けます。

ともかく先の出来事で、にいさんの『護りたい』は減りました。

母の分と、それとゴミみたいな国民の分、減りました。

 

にいさんの中にはもう私と、貴方の前の魔法使いしかありませんでした。

 

そうなると、当然心の力は弱くなります。日に日に、調節が狂っていきます。

 

向こうの魔法使いが片手間で込めているような力も、にいさんは全力で挑まなければ釣り合わなくなっていったのです。

必死に、護りたい護りたいと、涙を流し、喉を掻き毟り搾り出した力で、やっと向こうの魔法使いが鼻くそほじりながらテキトーに込める力と釣り合うんです。

にいさんの中で、護りたいものよりも、護りたくないものの方が多くなっていったんです。

 

でも、……これは恐らく推測なんですけど、

にいさんは、貴方の前の向こうの魔法使いに、それを悟られたくなかった。

 

……初めての友達だったんです。

自分の青春を全て投げ捨てて私達を護ってくれたにいさん。

人間であると言う生まれて誰もが持っている誇りを投げ捨てて、私達を護ってくれたにいさん。

 

そんな彼の、初めての友達が、顔も見たことも無い本来ならば敵であるはずの貴方の前の魔法使いだったんです。

にいさんは、友情なんて甘美なものを初めて知って、それで、そんな、ああ……多分、強がりを見せたんです。

 

 

 

79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 20:27:13.14 ID:jTKFfgocO

 

川塔じゃないのか

タイトル似てるからてっきり

 

 

 

80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 20:27:47.98 ID:b2PCowel0

俺はあんたと釣り合ってる。平等なんだ。上下は無い。友達だ。一緒だ。平和を作る同志だ。

 

そこに同情も、憐憫も、嘲笑も、批判も、慈愛も、あってはならないと、そう思ったんでしょう。

 

血反吐を吐いても、髪の毛が真っ白になっても、肌がどんどんしわくちゃになっても、彼とだけは平等でいたかったんです。

 

子供染みてると思いますか? 歪んでると、そう思いますか?

でも、私と、彼だけが、にいさんの全てだったんです。

 

……三年前、私はにいさんに会いに行きました。

 

やっと背中と、それと言語障害が治ったから。

会いに行って、どこか遠くに逃げようと、そういうつもりでした。

 

( ・∀・)「……出来なかった」

 

そうですね。無理でした。

死んでました。にいさん。

 

干からびてミイラみたいになって、大砲の下の椅子にへばり付いていました。

 

それでも、塔についてる鐘楼に反応して、魔法の弾だけは撃ち出すんです。

パブロフの犬でしたっけ? ともかくそんな感じで、機械的に、規則的に、死んでいるのに。

 

それがにいさんの全てでした。私と母の写真がくしゃくしゃになって手の中に在りました。

それがにいさんの全てでした。

 

誰が殺した、駒鳥の雄。

 

 

81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 20:29:03.36 ID:B0jYCHuR0

しえん

 

 

82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 20:29:26.71 ID:b2PCowel0

帝国が、私達のようなお荷物が、そしてあの男が、にいさんを殺した。

 

( ・∀・)「……」

 

恨みの矛先ってね、自分では決められないんです。

気付けば誰かに向かっていて、そいつを殺したくて仕方なくなるんです。

 

私、殺しますよ。

 

あの男が例え魔法使いの役を降りても、私、殺します。

 

( ・∀・)「……君は、悲しいな」

 

( ・∀・)「……いや、まるで、鏡を見ているような」

 

( ・∀・)「……。そうだな。そうなんだ。分かってるんだ。全部。僕も君も。でも、選ぶ前に、決まっていたから」

 

もう、そうなるしかないんですよ。

 

それが、きっと多分

 

 

 

83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 20:29:27.22 ID:PuqPhvOxO

マザーグースか

 

 

84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 20:31:08.12 ID:b2PCowel0

 

 

 

 

 

 

            ( ・∀・)「「塔の魔法使い」」 (゚、゚トソン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 20:32:32.08 ID:b2PCowel0

……新しい向こうの魔法使い。貴方の塔を壊します。

 

( ・∀・)「ああ、来い、向こうの哀れな魔法使い。僕もお前を殺してやる」

 

向こうの塔を壊したら、何があるか知ってますか?

 

( ・∀・)「知んない」

 

照準がね、自由に設定できるんですよ。今はお互い向こうの塔を向いているけど、それが自由になるんです。

私は、そうして手に入れた糞みたいな自由で、帝都を狙います。

帝国を殺します。その後、にいさんの友達を王国ごと殺します。

 

( ・∀・)「やりたいようにやれよ。僕だってそうする」

 

そうします。

 

( ・∀・)「……」

 

……ぐるぐる、させてしまったようで。

 

( ・∀・)「いや、いいんだ。僕は、何も思わないよ。ただ……」

 

……ただ?

 

( ・∀・)「背中、見せてよ。多分それも、僕の『敵』だ」

 

……えっち。

 

( ・∀・)「うるさいよ」

 

 

86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 20:40:30.22 ID:b2PCowel0

***

 

なんだかちょっとそれっぽいやり取りをしたあの夜から一週間たった。

未だ鐘は鳴らず。そしてあの女ともあの夜以来夢の根元では会っていない。

 

塔の魔法使い……いや、僕の前の塔の魔法使いも地下に閉じこもり出てくる気配を見せない。

 

僕は日々塔の天辺に登っては、扉に一番近い壁の本棚から順繰りに下らない本を読み漁った。

収監されている本のジャンルはオカルトに傾倒していた。興味は無かった。

 

だが同時に他の娯楽もこの塔には一片も無かったので、僕はしぶしぶ本を読み続けた。

 

本と人殺しが、この塔の娯楽の全てなのだろう。

 

僕は本を片手に開きながら、いつか僕の座ることになるだろう椅子を撫ぜた。

この椅子に僕は何度座るんだろう。

 

 

 

87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 20:42:35.41 ID:b2PCowel0

ぞくりと、背骨が波打った。

 

何年も、何十年も、座り続けるのか、あるいは……たった一回で終わるのか。

 

僕は自分のローブのポケットから、一枚の写真を取り出した。

 

切り取られた風景の真ん中では、幸せそうな僕と、僕の家族が反吐の出るような笑顔で突っ立っていた。

 

この中の僕と、今の僕は、きっと違う生き物だ。

 

じくじくと長続きする痛みの中で、まるで卵の中の雛のように、蛹の中の芋虫のように、少しづつ悪意の在る方向へと変貌していく。

恨みと、妬みと、それと根源的な殺意が混じって、そしてその矛先はどこにも向いていない。

 

宙ぶらりんの僕は、ただただ鐘が鳴るのを待っていた。

 

 

88 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 20:45:43.52 ID:b2PCowel0

ギ、

 

ギギギギギギギギギギギギ!!!!!!!!!!

 

 

 

 

(; ・)「!!」

 

(; ・)「……コレが、鐘……!?」

 

( ФωФ)「早く椅子に座れ!」ギィ、バタンッ!!

 

(; ・)「お、お前!」

 

( ФωФ)「早く!」

 

(; ・)「わ、分かってる! 僕に指図するな!」

 

鐘が鳴ると同時に慌てた様子で入ってきた前の魔法使いに指示されて

僕にもその焦燥が移ったように、もつれる足を必死に動かし椅子に座った。

 

(; ・)「それで、どうすればいいんだ!?」

 

( ФωФ)「強く、強く思え。何でもいい。護りたい、殺したい、壊したい、奪いたい、何でもいい、強く思え」

 

(; ・)「くそっ!!」

 

 

 

89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 20:47:44.38 ID:b2PCowel0

僕は思い出す。

僕の町に流星が降ったあの日を。

 

目の前で妹が半分になって、姉が腕だけになって、母の首が宙を舞い、父は消えた。

あの日を思い出せ。奪われたあの日を。

 

あの日自分の声が枯れるほどに上げた獣じみた慟哭を。

 

思い出せ、思い出せ、思い出せ!!

 

僕の心の一番底の深遠に、小さな火が燈った。

 

その火はあの日見た家族達の血塵を巻き込み、大蛇のほうに猛り狂う。

 

奥歯がカチカチとなり、口の端から涎が垂れる。

目は釣りあがり、奥のほうがチリチリと痛む。

 

名状できないドス黒い感情を抱えて、僕は、狂いそうになっていた。

 

あの女の背中だってみた。あれが帝国だ。

僕がこの塔を護らなければ、きっと帝国は僕の国に攻めてくる。

怖いものの無くなった帝国は、きっとあの背中みたいな傷を、いろんな人間に付けに来る。

 

 

 

90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 20:49:23.13 ID:b2PCowel0

そもそも帝国さえなければ、そもそも戦争さえなければ。

 

海の向こうは敵なのだ。あの女も、そしてあの国そのものも。

 

全て分かっている。恨みも妬みも嫉みも憎みも殺意も全部一緒にして、

あの日僕の掌をすり抜けていった大切な家族の分まで。

 

己の命を起爆剤に、燃やし尽くす。

奥歯が欠けだすほど強く噛み締め、なおも全てを込める。

 

だが。

 

( ФωФ)「おい、どうした」

 

大砲は、反応しなかった。

 

 

91 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 20:52:42.77 ID:b2PCowel0

(; ・)「……何だ、どうなってる。これでいいのか?」

 

( ФωФ)「いや、反応していない」

 

(; ・)「なんで!?」

 

( ФωФ)「足りていないのだ、起動にすら至っていない」

 

(; ・)「嘘だ!? こんなにも僕は、思っている!!」

 

( ФωФ)「ダメだ、もっとだ。もっと思え。足りぬ、それでは足りぬぞ」

 

(; ・)「なんで! どうすればいい!!」

 

( ФωФ)「知らぬ。それはお前がどうにかするべき問題だ」

 

(; ・)「か、代れ!! 今ならまだ!!」

 

( ФωФ)「馬鹿を言うな、私はもう舞台を降りた。それにお前はあの薬を飲んだろう。もう『魔法使い』は受け継がれた」

 

(; ・)「ふざけるな! くそっ!! なんで、動けよ!」

 

( ФωФ)「急げ、もうすぐ鐘がなり終わる。それがリミットだ」

 

 

 

92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 20:56:58.39 ID:IbKOHh980

これは支援

 

 

 

 

93 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 20:57:19.19 ID:IbKOHh980

支援

 

 

94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 20:59:57.22 ID:IbKOHh980

支援

 

 

95 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 21:00:18.79 ID:IbKOHh980

ししし

 

 

96 :さるった:2011/03/29() 21:01:55.22 ID:b2PCowel0

・)「う、ああ」

 

( ФωФ)「逃げるな。お前の仕事だ」

 

(  )「ああ……だって……

 

( ФωФ)「餓鬼か貴様は。その椅子に座れば、もう誰の助けも受けられぬ」

 

(  )「だって……くっそ……もし……

 

( ФωФ)「なんだ」

 

(  )「もし、僕が、このままだったら、どうなる」

 

( ФωФ)「向こうの魔法の弾がこの塔に当たる、それだけだ」

 

(  )「僕は、死ぬのか」

 

( ФωФ)「ああ、死ぬ」

 

(  )「みんなは、死ぬのか」

 

( ФωФ)「ああ、死ぬ」

 

 

97 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 21:02:36.46 ID:IbKOHh980

しえん

 

 

98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 21:02:57.76 ID:IbKOHh980

支援

 

 

99 >>96修正:2011/03/29() 21:04:27.02 ID:b2PCowel0

(; ・)「う、ああ」

 

( ФωФ)「逃げるな。お前の仕事だ」

 

(  ∀ )「ああ……だって……」

 

( ФωФ)「餓鬼か貴様は。その椅子に座れば、もう誰の助けも受けられぬ」

 

(  ∀ )「だって……くっそ……もし……」

 

( ФωФ)「なんだ」

 

(  ∀ )「もし、僕が、このままだったら、どうなる」

 

( ФωФ)「向こうの魔法の弾がこの塔に当たる、それだけだ」

 

(  ∀ )「僕は、死ぬのか」

 

( ФωФ)「ああ、死ぬ」

 

(  ∀ )「みんなは、死ぬのか」

 

( ФωФ)「ああ、死ぬ」

 

 

100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 21:04:40.50 ID:IbKOHh980

支援

 

 

 

 

101 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 21:04:56.63 ID:IbKOHh980

しえしえ

 

 

102 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 21:05:22.14 ID:AK4GzvBk0

支援

 

 

103 >>96修正:2011/03/29() 21:05:51.74 ID:b2PCowel0

(  ∀ )「……」

 

(  ∀ )「……」

 

(  ∀ )「……」

 

(  ∀ )「……」

 

(  ∀ )「……き」

 

 

104 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 21:06:32.49 ID:IbKOHh980

しえ

 

 

105 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 21:07:01.17 ID:IbKOHh980

支援

 

 

106 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 21:07:08.10 ID:b2PCowel0

(  ∀ )「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

     アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

     アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

     アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

     アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

     アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

     アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

     アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

     アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

     アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

     アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

     アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

     アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

     アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

     アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

     アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

     アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」

 

 

 

 

107 >>103名前欄は無視してください:2011/03/29() 21:08:39.48 ID:b2PCowel0

( ФωФ)「……狂ったか」

 

(  ∀ )「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

     アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

     アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

     アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」

 

( ФωФ)「だが逃れらぬ。あの薬のせいで、狂いたくても狂いきれない。半端に覚醒した意識の中で己の罪を自覚し続ける」

 

(  ∀ )「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

     アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

     アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

     アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」

 

( ФωФ)「この塔はお前を逃がさないぞ。代わりが来るまでお前は囚人だ」

 

(  ∀ )「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

     アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

     アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

     アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」

 

( ФωФ)「私の言葉もしっかりと聞こえているだろう。お前がしているのは狂ったふりに過ぎない。だが、それが、お前の枷を外す」

 

(  ∀ )「ア――――」

 

( ФωФ)「……失禁したか」

 

 

108 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 21:09:09.02 ID:IbKOHh980

支援

 

 

109 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 21:09:30.32 ID:IbKOHh980

支援

 

 

110 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 21:09:46.00 ID:IbKOHh980

しえし

 

 

111 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 21:11:34.68 ID:b2PCowel0

(  ∀ )。o■■なさい。護■■■なんで■■助け■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

       殺し■■■■■■■■■■■■だって■■■護り■■■■■■助け■■■■■■助け■■■■■■助け■

       ごめんな■■■■■■僕■■■あいつ■■■■■■■■■一生■■■二度と■■■■■■■■■■■■■

       不安■■■後悔■■■■■■怨恨■■■■■■■■■やめ■■■助けて■■■■■■■■■護り■■■■

    人は■■■■■■砕け■■■逃げる■■■■■■■■■ごめん■■■■■■だろ■■■言わない■■■死に)

 

 

 

(  ∀ )。o(助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて

        助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて

     助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて

     助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて

     助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて

     助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて

     助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて

      助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて

      助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて)

 

 

 

(  ∀ )「タ……スケ……て……」

 

 

 

 

112 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 21:12:59.04 ID:b2PCowel0

 

 

 

ゴウン……ゴウン……ゴウン……ゴウン……

 

 

 

( ФωФ)「む……起動したか」

 

( ФωФ)「何を思ってるか知らんが、まぁ、初回はそんなものだ」

 

( ФωФ)「では、これから、頑張ってくれたまえ」

 

( ФωФ)「塔の魔法使い」

 

 

この日初めて僕は魔法使いになって

 

僕の惨めでみすぼらしい思いは形を成して、水平線の彼方に飛んでいった。

 

三年ぶりに海のど真ん中に綺麗な花火が上がり

 

そして僕は、魔法使いになって……。

 

それで……。

 

 

 

 

113 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 21:14:42.72 ID:b2PCowel0

***

 

(゚、゚トソン「やぁ」

 

( ・∀・) ……

 

(゚、゚トソン「初めて引き分けました」

 

( ・∀・) ……

 

(゚、゚トソン「殺す気だったのに」

 

( ・∀・) ……

 

(゚、゚トソン「……今日は喋ってもいいですよ」

 

( ・∀・) ……ア」

 

(゚、゚トソン「……?」

 

 

 

114 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 21:14:53.33 ID:3J0BOLbkO

しえん

 

 

115 :もうちょっとで終わりますので:2011/03/29() 21:16:14.05 ID:b2PCowel0

( ・∀;) ポロ

 

( ;∀;) ポロポロ

 

(゚、゚;トソンそ

 

(゚、゚;トソン「え、ちょ、なんですか」

 

( ;∀;)「あ、うあ……」

 

(゚、゚;トソン「や、やめてくださいよ、そういうの」

 

( ;∀;)「ち、ちが……」

 

(゚、゚;トソン「なんなんですか、やめて……

 

( ;∀;)「ご、ごめ……」

 

( ;∀;)「ひっ……ひっ……」

 

(゚、゚;トソン「もう……なんなんですか……

 

 

 

 

116 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 21:17:44.86 ID:b2PCowel0

( ;∀;)「ぼ、ぼ、くは、よ、よかったって……」

 

( ;∀;)「し、死ななくて、よかったって……」

 

( ;∀;)「じ、自分のこ、ことだけ……」

 

( ;∀;)「お、おしっ、こ、もらして、でも、し、しななく、て」

 

( ;∀;)「よかった、ってぇええええ……」

 

(゚、゚トソン「ふうん」

 

( ;∀;)「ずっと、助けてって、思ってた」

 

(゚、゚トソン「それは、また、情けない」

 

( ;∀;)「僕のせいで、た、沢山の人が死ぬって、思って、」

 

( ;∀;)「そ、れで、復讐とか、う、恨みとか、全部どっかいって」

 

( ;∀;)「や、やだって、思って、それで、そ、それで」

 

( ;∀;)「自分も、やだ、や、やだって」

 

( ;∀;)「あ、あうう……」

 

(゚、゚トソン「はぁ」

 

 

 

117 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 21:19:20.70 ID:hzO0AfUN0

しえん

 

 

118 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 21:19:36.38 ID:b2PCowel0

( ;∀;)「僕は、僕が、ぼ、僕が……」

 

( ;∀;)「よわ、弱かった」

 

( ;∀;)「弱かったんだぁあぁああ……ああぁあ……」

 

(゚、゚トソン「でも、私とは初めて引き分けたんですよ」

 

(゚、゚トソン「貴方は弱くないです」

 

( ;∀;)「ちが、違うんだ。く、薬が」

 

(゚、゚トソン「薬には心の力を強くする作用はありません」

 

( ;∀;)「こ、怖いよぅ……」

 

(゚、゚トソン「なんなんですか……はぁ……

 

( ;∀;)「ぼ、僕、家族がみんな死んで、君を殺そうと思って」

 

( ;∀;)「でも、そんな、そんな大切なことより、自分が、死にたくないって」

 

 

 

119 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 21:23:06.43 ID:kd/dayjN0

支援

 

 

120 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 21:25:03.61 ID:b2PCowel0

( ;∀;)「ね、ねぇ、僕を、こ、殺さないで」

 

(゚、゚トソン「ダメです」

 

( ;∀;)「お、お願いします、こ、も、もうやめ……」

 

(゚、゚トソン「ダメです」

 

( ;∀;)「ああ、ううぅ……」

 

( ;∀;)「いやだ……もう……やだぁ……」

 

(゚、゚トソン「慣れます」

 

( ;∀;)「な、慣れたくない」

 

(゚、゚トソン「辛いのは始めだけです」

 

(゚、゚トソン「段々、段々貴方は塔の部品になっていきます」

 

(゚、゚トソン「感情が、感覚が鈍化して、ただの部品になっていきます」

 

(゚、゚トソン「それまで、苦しみ続ければいい」

 

 

 

121 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 21:29:23.11 ID:IbKOHh980

支援

 

 

122 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 21:29:45.18 ID:IbKOHh980

支援

 

 

123 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 21:33:17.68 ID:OSwvYh3j0

( ;∀;)「あ、あとどれくらい」

 

(゚、゚トソン「そうですね。私はその経験はないですが、大体一年くらいかと」

 

( ;∀;)「う、あ、嫌だ、嫌だよぅ……」

 

(゚、゚トソン「大丈夫です。大抵の魔法使いはそうなりますから」

 

(゚、゚トソン「でも逃げられない」

 

(゚、゚トソン「薬と、それから貴方が逃げたら貴方の国の人間全員死ぬと言う事実から」

 

(゚、゚トソン「貴方は逃げたくても逃げられない」

 

(゚、゚トソン「鐘が鳴れば、体は塔の天辺に、あの椅子に向かいます」

 

( ;∀;)「た、助けて……無理だ……壊れる……」

 

(゚、゚トソン「壊れません。魔法使いは壊れない。それに死ねない、逃げられない」

 

 

 

124 :さるったら回線を繋ぎなおせばええんや:2011/03/29() 21:34:48.33 ID:OSwvYh3j0

( ;∀;)「う……あああああ……」

 

(゚、゚トソン「だから、戦って」

 

(゚、゚トソン「私も、貴方を殺したいから」

 

(゚、゚トソン「戦って」

 

(゚、゚トソン「いいですか?」

 

(゚、゚トソン「貴方と私だけなんです」

 

(゚、゚トソン「他の人は関係ありません」

 

(゚、゚トソン「貴方と私だけ」

 

(゚、゚トソン「ね?」

 

( ;∀;)「あ、あ、う……うぅうう……」

 

(--トソン「はぁ……

 

(--トソン「馬鹿ですね、私も」

 

 

125 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 21:36:04.52 ID:OSwvYh3j0

 

 

 

 

 

 

            ギュウ……

 

 

 

 

 

 

 

 

126 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 21:37:32.89 ID:OSwvYh3j0

(--トソン「聞こえますか。心臓の音」

 

(--トソン「これが私の全てです。止まれば死にます」

 

(--トソン「そして貴方の全てでもあります。止めれば救われます」

 

(--トソン「ね? 貴方と私だけなんです。それが全部、それが全て」

 

(゚、゚トソン「ねぇ、背中に腕を回して」

 

( ;∀;)「……や、やだ」

 

(゚、゚トソン「ダメです、まわして」

 

(゚、゚トソン「……そうです。いい子」

 

(゚、゚トソン「そのまま、服の上から、感じてください」

 

(゚、゚トソン「ぐちゃぐちゃなの、分かります?」

 

(゚、゚トソン「ボロボロなの、分かります?」

 

(゚、゚トソン「見るだけじゃ分からない、コレも私の全てです。私の、原動力の全て」

 

 

 

127 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 21:37:38.27 ID:uPveCPX90

支援だ

 

 

128 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 21:39:40.58 ID:OSwvYh3j0

(゚、゚トソン「何で私が初めて魔法使いになった日、貴方みたいにならなかったか」

 

(゚、゚トソン「私はね、始めからぐちゃぐちゃを背負ってたんです」

 

(゚、゚トソン「大丈夫、そのうち、慣れます」

 

(゚、゚トソン「どんな傷も、カサブタになって、いつか剥がれ落ちます」

 

(゚、゚トソン「ね?」

 

( ;∀;)「……」

 

(゚、゚トソン「それでもダメなら。それでも逃げたいなら。多分次を最後にします」

 

( ;∀;)「や、嫌だ! 殺さないで! 僕を、見捨てないで! 一人にしないで! 嫌だ! ごめんなさい! あ、ああ……」

 

(゚、゚トソン「それじゃ」

 

(゚、゚トソン「また今度があればいいですね……

 

( ;∀;)「や……」

 

( ;∀;)「僕を、一人にしないで……」

 

 

129 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 21:40:57.61 ID:OSwvYh3j0

現実世界に戻っても、味方は独りもいないから

 

僕は夢の根元でずっと、膝を抱えて蹲る。

 

僕が目を醒ますまで、僕は夢を見続ける。

 

二度と目覚めたくないけど、僕はきっと目を醒ます。

 

だってそれが、塔の魔法使いだから。

 

僕はきっと目を醒ます。

 

 

130 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 21:42:51.35 ID:OSwvYh3j0

***

 

あの日から二週間経った。

 

前の魔法使いの男はいつの間にかこの塔から消えていた。

あの女ともあれ以来夢の根元には来ない。

 

それでも僕は誰かと話したくて、毎日塔の中を這いずり回り、男の影を追い

夜は夢の根元で、まるで捨てられたことを理解できない子供がいつまでも母親を待つように、あの女を待っていた。

 

でも、誰もいなかった。

 

次の鐘が鳴ったら、僕は、死ぬかもしれないのに

 

誰も僕に会ってくれなかった。

 

腹も減らず、排泄すら必要としなくなっている自らの体を引きずって、僕は日夜恐怖に脅えていた。

逃げようと思っても、塔の扉から一歩踏み出すたびに気を失って気付けばベッドにいる。

それを何百回と繰り返すうちに、いよいよ僕は諦め始めていた。

 

またアレを繰り返す事を覚悟し始めていた。

 

……いや、覚悟すると言うよりも時間が経ちすぎていてあの日の記憶が段々薄れてきているのだ。

失禁に、矮小な己をさらけ出したあの日がもう過去になるくらい、僕は脅えつくして、そして疲れてきていた。

 

逃げることもできないなら、どうせまた、繰り返すなら。

 

 

131 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 21:44:07.78 ID:OSwvYh3j0

きっとまた鐘がなれば、また恐怖に慄き、果ては失禁するかも知れない。

しかし、もうどうしようもないのなら、考えることもまた、必要ないだろう。

 

ただ、僕の掌にはあの女の背中の感触がいつまでこびり付いて離れなかった。

 

( ・∀・) 「名前……聞けばよかったな……

 

もしかしたら、最後かもしれなかったのに

 

僕は、前の魔法使いの名前も、あの女の名前も知らない。

 

家族が死んだあの日から、街が消えたあの日から、僕は新しく人の名前を覚えた事は無い。

僕はきっとあの日から、一歩も動いてはいないんだ。

変わる、変えるといいながら、その実たった一歩すら進むことは無かったんだ。

 

停滞している僕が、すでに何百年も停滞しているこの戦争を、変えることなど

 

初めから無理だったんだ。

 

 

132 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 21:44:21.18 ID:3J0BOLbkO

しえ

 

 

133 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 21:46:06.76 ID:OSwvYh3j0

ギギギギギギギ!!!!!!!

 

 

―――鐘が鳴る。

 

もし、今日、この日を生き延びることが出来たなら、あの女の名前を聞こうかな。

 

そんなことを思いながら、僕は塔の天井を突き破ってその砲身を外界へと伸ばす大砲の下の椅子に座る。

 

もしかしたらまた狂うかも知れない。

 

失禁するかもしれない。

 

そしてそれでも――――死ぬかもしれない。

 

だけど、僕は逃げられない。

 

明日は変わる、そのために。

 

明日へ逃げる、そのために。

 

何故なら既にこの体、この僕全てが、なにもかも。

 

( ・∀・) 「塔の魔法使いなんだから」

 

ため息一つ、空気に溶けて。

 

 

 

( ・∀;) 「さよなら、僕」

 

 

134 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 21:47:38.13 ID:OSwvYh3j0

***

 

 

 

 

「ねぇ」

 

「なんですか」

 

「名前、教えてよ」

 

「馬鹿ですね……もう私お婆さんですよ」

 

「僕ももうおじさんだよ」

 

「あ、いまちょっと私より若く言いましたね」

 

「実際君より若い」

 

「あ、ムカつきました。殺しますよ」

 

「うん、君も、まだまだ若い。やり直すには、十分だ」

 

「馬鹿ですね……ホントに馬鹿……」

 

 

135 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 21:50:01.29 ID:hzO0AfUN0

ほう

 

 

136 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 21:50:40.36 ID:uPveCPX90

おっ

 

 

137 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/29() 21:52:19.96 ID:6DRLXXat0

いいね・・・

 

 

138 :以下、名無しにかわりまして