あな素晴らしや、生きた本 のようです

(番外編・あな騒がしや、VIP図書館)

 

985 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/04() 19:20:14 ID:gslfhTKcO

 

ハハ -)ハ「ワタシを、置いていくノ……?」

 

( ・∀・)「……ああ」

 

ハハ -)ハ「……ドウシテ」

 

( ・∀・)「僕と君は結ばれてはいけなかったんだ」

 

ハハ -)ハ「ヒトリにしないで……

 

( ・∀・)「1人じゃないだろう。お腹に赤ちゃんがいるじゃないか。

      ……それじゃあ――さよなら。君は君の愛する人と一緒になって」

 

ハハ -)ハ「待って! 待って……オネガイ……

 

ハハ。ロ -)ハ「……ワタシの愛する人ナンテ、アナタしかいないノニ……

 

( --)「……これで、良かったんだ。これで……

 

 

 

 

 

ζ(;;*ζ

 

ζ(;;*ζ「こんなの……こんなのあんまりじゃないですか……

      何で2人は幸せになれないんですか、

      ハローさんのお腹の赤ちゃんはどうするんですかぁあ……!!」

 

(;^ω^)「あのう、デレちゃん、演劇だから。素人の演劇だから。ね?」

 

 

 

番外編 あな騒がしや、VIP図書館

 

 

986 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/04() 19:20:39 ID:gslfhTKcO

 

〜2時間前〜

 

ζ(゚、゚……皆さんお揃いで。何してらっしゃるんですか? テーブル全部寄せて』

 

( ^ω^)『今から「演じる」んだお。そろそろ限界近そうな本が2冊ほどあるから』

 

ξ゚听『椎出姉妹の本が1冊ずつ。どちらも最後に演じたのは2年前ね』

 

ζ(゚、゚『2年も我慢してくれるもんなんですか』

 

( ^ω^)『しぃとでぃの言うことには、

       これらの本が無性に演じてもらいたがってる「ような気がする」、らしいお』

 

ζ(゚、゚『へえー』

 

( ^ω^)『はい準備出来たおー! まずはでぃの本! 主演共さっさと来いお』

 

(*・∀・)ノシ『はーい! この一週間、頑張って台詞覚えたよ!』

 

ハハ -)ハ『デレ、見ててネ』

 

川д川『脇役待機しまあす……』

 

( ゚)『1人3役やらされるとは……

 

( ^ω^)『そんじゃあ、スタート!』

 

ζ(゚ー゚『わー』パチパチ

 

 

〜〜〜〜〜〜

 

 

987 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/04() 19:20:58 ID:gslfhTKcO

 

ζ(゚ー゚「結構しっかり演じるもんなんですね」

 

( ^ω^)「ああ、力の入れように関しては、みんなの気分だお。

       お手軽に済ませたいときは、ぱぱっと台詞読み上げるだけで

       終わらせる場合もあるし」

 

ζ(゚、゚「そういえばキュートちゃんの家で演じたときは

      ほとんど台詞読むだけでした、たしかに。こう、みんなで一冊の本覗き込んで」

 

(*・∀・)「ああ疲れた! 誰か俺を褒めて!」

 

(*゚ー゚)「よし来いや。褒め倒してやる」

 

( ・∀・)「しぃは遠慮しとく」

 

ハハ -)ハ「デレ、どうデシター?」

 

ζ(゚ー゚「面白かったですよ」

 

ハハ* -)ハ「ワーイ」

 

(*;;-) パチパチ

 

( ^ω^)「次はしぃの本だけど……」

 

( ^^)

 

( ゚)「主演ニュッ君だろ」

 

川д川「おいでニュッ君……」

 

( ^^)

 

ξ゚听……ニュッ君、舞台形式で演じるのは嫌みたいね」

 

ハハ -)ハ「イツモは何だかんだいってもチャントやってくれるノニ」

 

 

988 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/04() 19:21:19 ID:gslfhTKcO

 

( ・∀・)「デレちゃんいるからじゃない? ニュッ君ったら恥ずかしがり屋なんだから」

 

 

( ^ν^) ));;)「理不尽!」

   ⊂彡

 

 

( ^ω^)「この調子ならどうせ台詞覚えようともしてないだろうし、

       読み上げ形式に移行するかお」

 

( ゚)「舞台形式の方が楽だろうに」

 

ζ(゚、゚「台詞覚えなきゃいけない分、舞台のが大変じゃありませんか?」

 

川д川「台詞や展開を多少省けるし、台詞忘れてもノリとアドリブで何とかなるのよ……」

 

ζ(゚ー゚「ああ、なるほど」

 

(*゚ー゚)「ほい、本。せめて元気いっぱい朗読してね、ニュッちゃん」

 

ハイ (*゚ー゚)(^ν^ )

 

( ^ν^) パラパラ

 

( ^ν^)「『奥様のお子さん七五三ですってね。お祝いに、僕の股間の千歳飴を』」

 

 

≡≡≡( ^^)  ≡≡(*゚ー゚)ノ キャー

 

 

(*゚ー゚)「ちょっとした悪戯心じゃないっすか……

 

( ^ν^)「死ね」

 

( ^ω^)「やあねえ、千歳飴ですって……」ヒソヒソ

 

川д川「細くて長い……」ヒソヒソ

 

( ^ν^)「みんな死ね」

 

 

989 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/04() 19:21:49 ID:gslfhTKcO

 

(*゚ー゚)「こっちが本物でげす」

 

( ^ω^)「ええと、主人公の台詞はニュッ君が読んで、ヒロインは……ツンだったおね」

 

ξ゚听「ええ」

 

( ^ω^)「台詞覚えてるかお?」

 

ξ゚听「舞台のつもりで覚えたから、省いてしまったところもあるわ」

 

( ^ω^)「じゃあニュッ君と一緒に本見るとして……。

       脇役要員のクックルと貞子、しぃはどうだお?」

 

( ゚)「台詞のメモがある」

 

川д川「同じく。まあ要するにカンペねえ……」

 

(*゚ー゚)「自分の作品だから大体分かるわよん」

 

( ^ω^)「よし、んじゃあ始めてくれおー」

 

( ・∀・)「みんな頑張ってー」

 

ハハ -)ハ「読み上げ形式ダト、見てる方が退屈なんデスヨネー」

 

(#;;-) ネー

 

ζ(゚ー゚「動きがないですからね……ニュッさん物凄く棒読みだし」

 

( ^ω^)「おっおっお、棒読みに関してはツンも酷いもんだお。

       まあ今回はロボット役だから、案外ぴったりかもしれんお」

 

 

ξ゚听「『ならば我々ロボットは』……

 

ξ゚听……ん、ニュッ君、少し読みづらいわ。ちょっとごめんなさい」

 

   ミッチャクー

,,ξν^)

 

 

990 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/04() 19:22:23 ID:gslfhTKcO

 

ξ゚听「ええ、と……『ならば我々ロボットは、人間への愛すら認められぬと』……

 

ζ(゚、゚

 

( ^ω^)「おや、デレちゃん、もしや妬いていらっしゃる」

 

ζ(゚、゚「えっ!? いや、え!?」

 

( ^ω^)「おっおっお、隠さなくていいおー」

 

 

 

( ^ω^)「かくいう僕も、今すぐニュッ君と従兄弟の縁を切って奴の首絞めたいしね」

 

ζ(゚、゚「ニュッさん逃げてぇええええ!!」

 

*****

 

 

 

川д川「館長からツンにストップかかりましたあ……」

 

ξ゚听「迷惑極まりないわ」

 

( ^ω^)「僕のツンたんと常時密着なんて、ニュッ君といえど許せんお」

 

(*゚3゚)「ツン抜けたら誰がヒロインやるんだよー」

 

ハハ -)ハ「ワタシはモウ疲れマシタ」

 

( ゚)「でぃ……は、喋らないしな」

 

(#;;-) ムリムリ

 

(;・∀・)「これはまさか……俺がヒロインに……!?」

 

( ^ω^)「ねーお。……いるじゃないかお、ここに。ねえデレちゃん」

 

ζ(゚ー゚「えっ」

 

 

991 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/04() 19:22:43 ID:gslfhTKcO

 

( ^ω^)「さあさあさあ、ニュッ君の隣にどうぞ」

 

ζ(゚ー゚「えっ、えっ」

 

( ^ω^)「じゃあ、さっきよりちょっと前のところからスタート!」

 

ζ(゚ー゚(えー)

 

( ^ν^)「……」

 

( ^ω^)「ニュッ君始まってるおー」

 

( ^ν^)「……『俺は機械が嫌いだ』」

 

(*゚ー゚)「次デレちゃんの台詞ー」

 

ζ(゚ー゚「んっと、あれ? どこですか?」

 

   ミッチャクー

( ^ν^ζ(゚ー゚;ζ,,,

 

ζ(゚ー゚「んー、んー……あ、ここか」

 

 

( ^ν^ζ(゚ー゚「わ……『私のことも』、えと、お、『お嫌いですか』……ですか!」

 

 

( ^ν^) ))ー゚「理不尽!」

   ⊂彡               (※力は入ってません)

 

 

( ^ν^)「邪魔」

 

ζ(;;*ζ「つ、ツンちゃんは叩かなかったくせに!

      顔ですか! 結局人間顔なんですか!!」

 

(;^ω^)「で、デレちゃんも充分可愛いお」

 

(;゚)(フォローするところはそこなのか)

 

 

992 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/04() 19:23:12 ID:gslfhTKcO

 

( ・∀・)「女の子叩いちゃ駄目だよニュッ君」

 

 

( ^ν^) ));;)「だからってこっち来ないで!!」

   ⊂彡               (※全力です)

 

 

ξ゚听「仕方ないでしょニュッ君、本は一冊しかないんだから」

 

( ^ω^)「今からコピーするのも大変だしおー」

 

( ^ν^) チッ

 

ζ(゚、゚……ニュッさんが嫌なら、やっぱり私やめますけど……

 

ハハ -)ハ「アー。ニュッ君のセイでデレ傷付いたー」

 

(*゚ー゚)「いーけないんだいけないんだー」

 

(#;;-) ブー

 

( ^ν^)「……」

 

( ^ν^)「やるぞ早く」

 

ζ(゚ー゚……はいっ!」

 

*****

 

 

993 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/04() 19:24:05 ID:gslfhTKcO

 

〜大体1時間後〜

 

( --) グーグー

 

ハハ -)~゚ ファア

 

(#;;-) ワクワク

 

ζ(゚ー゚「『それでは、私はここを出ます』――

 

( ^ω^)「……よっし、一段落ついたおね。

       一旦休憩するおー。モララーなんか完全に寝てるし」

 

(*゚ー゚)「人の書いた話を退屈だと言いたいんだな、そこの残念なイケメンは」

 

川д川「二枚目半とは、まさにモララーのためにあるような言葉よねえ……」

 

ξ゚听「紅茶持ってきたわ」

 

ζ(゚ー゚「やった! ありがとうございます、丁度喉渇いてたんです。

      ……あっ、ごめんなさいニュッさん、ずっとくっついてて」

 

( ^ν^)

 

ζ(゚ー゚……ニュッさん?」

 

( ^ν^)

 

( ^ν^) バッターン

 

ζ(д「わあああニュッさん倒れたぁあああ!! あれ何か前にもこんなことが!?」

 

(;^ω^)「くそっ、休憩入れるの遅かったかお!!」

 

(*゚ー゚)「寧ろよく1時間持ったなと思うよ私は」

 

川д川「やっぱり女の子と密着1時間はニュッ君には無理ね……」

 

 

994 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/04() 19:24:27 ID:gslfhTKcO

 

 

                                  ニュッさーん!

 

     駄目デレちゃん! この上さらに顔近付けたら死んじゃう!!

 

                          冷たいお水持ってキマース

 

                      ニュッ君、俺と主人公替わるか?

 

              最初からそうすれば良かったんじゃないかしら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 林の中の、VIP図書館。

 

 元々妙な住人が多くて賑やかだった洋館は、

 ある客が訪ねてくるようになってからというもの、最近一層騒がしい。

 

 騒がしくて――何とも、楽しげである。

 

 

 

番外編 終わり