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( ^ω^)迫るもののようです 354 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/08/29(日)
01:13:54 ID:EsiZwwnMO 乙! レベル高ぇ…… では俺が55本目いかせていただきます。 箸休め程度に思っていただければ。 .,、 (i,) |_| 355 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/08/29(日) 01:15:19 ID:qRDHAnLwO 支援! 356 :( ^ω^)迫るもののようです:2010/08/29(日) 01:15:27 ID:EsiZwwnMO (;^ω^)「やっと出来たお……」 夕暮れ時、とある小学校の教室。 プリントの束を掲げて、はあ、と息をつく少年が1人。 他の生徒の姿は見当たらない。 というのも、この少年、ブーンは、1人だけ居残りを命じられていたのだ。 今まで、宿題などの類を嫌い、まったく提出してこなかったブーン。 そんな彼に、ついに担任教師は我慢の限界を迎えた。 (゚、゚#トソン『このプリントをやって、今日中に私に提出してください』 (;^ω^)『……お、多くないですかお?』 (゚、゚#トソン『これでも、君が今まで提出してこなかったものの半分程度ですよ。 いいですか、もしも提出せずに帰った場合は……』 (;^ω^)『帰った場合は……?』 (゚、゚#トソン『明日、君は地獄を見ます』 異義を申し立てれば、それこそ今すぐ地獄を見ることになりそうな雰囲気であった。 357 :( ^ω^)迫るもののようです:2010/08/29(日) 01:16:34 ID:EsiZwwnMO そして今、ようやくブーンはプリントの問題を解き終えたのである。 担任は、2時間ほど前に職員室へ行ったきり。 職員室へ行くべく(そして帰るべく)、ブーンはランドセルを背負い、 プリントを抱えて教室を出た。 ( ^ω^)迫るもののようです 358 :( ^ω^)迫るもののようです:2010/08/29(日) 01:17:40 ID:EsiZwwnMO もう生徒はみんな帰ってしまったのだろう、話し声1つ聞こえない。 しんと静まり返り、窓から差し込む夕日の色に染まった廊下を歩いていると、 なんだか不安な気持ちがブーンの胸に芽生えてきた。 (;^ω^)(……ちょっと怖いお) 真っすぐ伸びた、少し長めの廊下。 その先をじっと見つめていると、何かが現れそうな気がして、ブーンは目を逸らした。 左へ顔を向ければ、開け放された教室の引き戸から、その教室の中が目に入る。 誰もいない教室。 よく怪談で見るような――端の席に幽霊が座っている、といったような――光景が ブーンの頭に過ぎって、ブーンは慌てて首を振った。 (;^ω^)(昨日怖い番組見ちゃったから気になっちゃうだけだお……) 考えすぎなのは分かっているが、しかしそれでも怯えてしまう気持ちは抑えようもない。 右を向く。 窓からは、広いグラウンドを見下ろせる。 そのグラウンドで、少女と少年が2人で遊んでいるのを見付けた。 ξ*゚゚)ξノ○ ヽ('A`*) 359 :( ^ω^)迫るもののようです:2010/08/29(日) 01:18:57 ID:EsiZwwnMO (*^ω^)(――ツンとドクオだお!) ブーンの友達である、ツンという少女と、ドクオという少年。 その2人は、ボールを蹴ったり、投げ合ったりしながら笑っている。 3階にいるブーンには2人の声は聞こえないが、とても楽しそうだ。 ブーン達は、いつも3人で下校している。 以前、ツンが委員会で遅くなったときには、ブーンとドクオがグラウンドで時間を潰しながらツンを待った。 きっとあの2人もブーンがプリントを終わらせるのを待っててくれたのだろう。 不意に、上を向いた2人と目が合った。 ξ*゚゚)ξ ('A`) ξ*゚゚)ξノシ ('∀`)ノシ (*^ω^)ノシ ブーンは手を振って、「今帰る」と、声は出さずに口をぱくぱくと動かして伝えた。 ツンとドクオは笑顔で頷いた、が。 ξ*゚゚)ξ ('∀`) ξ゚听)ξ ('A`) 突然、2人の顔が引き攣った。 360 :( ^ω^)迫るもののようです:2010/08/29(日) 01:20:38 ID:EsiZwwnMO (*^ω^)「?」 ξ;゚゚)ξ (;'A`) そして、顔を上げたまま、視線をブーンから横に移動させた。 真ん丸に見開かれた目が、2人が動揺していることを正確に教えてくれる。 視線の行き先は、2人から見て左。 ブーンの後ろだ。 (;^ω^)「……? 何なん……」 ぺたり 微かに、裸足で歩くような音がした。 361 :( ^ω^)迫るもののようです:2010/08/29(日) 01:22:17 ID:EsiZwwnMO (;^ω^)「……!?」 ぺた ぺた さらに二回。 音は、ブーンより後ろ、少し遠いところからする。 ぺたん それが後ろから近付いている。 ξ;゚゚)ξノシ ヽ('A`;)ノ やがて、2人がブーンに目を戻し、めちゃくちゃに手を振った。 何度かブーンの後ろを指差し、ぐるぐる腕を回す。 (;^ω^)(――『逃げろ』?) ブーンがその行動の意味を読み取った瞬間、2人は顔を恐怖に歪め、校門へ駆けていってしまった。 362 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/08/29(日)
01:22:23 ID:Mzu4Nlnk0 >>359までで更新終わってガクブル 支援 363 :( ^ω^)迫るもののようです:2010/08/29(日) 01:23:53 ID:EsiZwwnMO ぺたん ぺたん 音は近付く。 まだ残っていた生徒? それとも教師? しかしそれならツン達が怖がる意味が分からないし――裸足で歩いている意味も分からない。 (;^ω^)「……!!」 ぞくり、ブーンの背筋に悪寒が走る。 結論を出すより早く、ブーンは駆け出していた。 ぺたん ぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺた 364 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/08/29(日) 01:24:26 ID:mAjCum9E0 逃げてぇぇぇぇ 365 :( ^ω^)迫るもののようです:2010/08/29(日) 01:25:29 ID:EsiZwwnMO 後ろの足音がスピードを上げる。 まだ走り出して間もないのに、ブーンの心臓は、何分も走った後のようにばくばくと激しく跳ねていた。 (;^ω^)「……おっ、お……!!」 階段に差し掛かり、一段飛ばしで駆け降りる。 何度も足が縺れそうになるのをこらえて、後ろの何者かから逃げた。 3階から2階へ。そのまま、1階へ向かう階段を走る。 職員室は、1階へ下りて、教室をいくつか過ぎたところにある。 昇降口は、職員室よりさらに先。 学校から出るより、人がいるであろう職員室に逃げ込んだ方が良い。 ただ、それまでに足音が追い付いてしまったら? (;^ω^)「……っ! ……!!」 クラスの中で一番足が速いブーンだが、足音はどんどん距離を縮めてくる。 ブーンの足が震えた。 何とか、ぐっと足に力を込めてはいるが、少しでも気を抜けば転んでしまいそうだ。 366 :( ^ω^)迫るもののようです:2010/08/29(日) 01:27:39 ID:EsiZwwnMO (;^ω^)(も、もっと早く走らなきゃ……!) 1階に辿り着いた。 減速はせずに、職員室を目指す。 足音は、もはやすぐ傍に迫っている。 (;^ω^)(早く、早く――!) 職員室のドアに手をかける。 それと同時に、ブーンの首筋に、指のようなものが触れた。 (; ω )(――っ) ドアを勢いよく開け放ち、職員室へ飛び込む。 そのまま床へ転がるブーンを、教師達が、ぎょっとした様子で見つめていた。 367 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/08/29(日) 01:28:53 ID:Mzu4Nlnk0 支援 368 :( ^ω^)迫るもののようです:2010/08/29(日) 01:30:03 ID:EsiZwwnMO (; ω )(に、逃げ、れた……?) ブーンは床に転がったまま、ゆっくりとドアを振り返った。 廊下には誰もいない。 だが――確かに、「誰か」はいた筈だ。 首に触れた指の感触は気のせいなどではなかった。 ともかく、逃げ切れたことに安堵の息をつく。 全身を弛緩させると、ぽろぽろ、涙が零れてきた。 ( ;ω;)「……うー……」 (゚、゚;トソン「ぶ、ブーン君、どうしたんです!?」 職員室の中を支配していた沈黙が破られる。 そこへ担任が駆け寄り、ブーンを抱き起こした。 担任の体温がブーンを包む。 ( ;ω;)「う、う……うわあああああああああああああん!!」 (゚、゚;トソン「わっ、大丈夫ですか!? どこか怪我したんですか? それともそんなに居残りが嫌でした? おお、よしよし……」 気が付けば、ブーンは担任にしがみつき、大声をあげて泣いていた。 恐怖で固められていた心が解れていく。 泣きじゃくるブーンを、担任は首を傾げながら慰めた。 369 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/08/29(日) 01:30:54 ID:mAjCum9E0 助かった……? 370 :( ^ω^)迫るもののようです:2010/08/29(日) 01:32:12 ID:EsiZwwnMO 翌日、ツンとドクオの2人と共に登校していたブーンは、彼らから昨日のことについて訊ねてみた。 ツン達は顔を見合わせてから、恐る恐る口を開く。 (;'A`)「……俺達がブーンを見たときはさ、最初、ブーン以外、誰もいなかったんだけど」 ξ;゚゚)ξ「急に、本当に急にね、パッと、ブーンの後ろに現れたの」 (;^ω^)「……何が?」 ξ;゚゚)ξ「……黒くて、長い髪した、女の子」 教室へ着くと、担任が声をかけてきた。 (゚、゚トソン「おはようございます、ブーン君」 ( ^ω^)「おはようございますお!」 371 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/08/29(日) 01:33:33 ID:qRDHAnLwO あら、恐い 372 :( ^ω^)迫るもののようです:2010/08/29(日) 01:33:59 ID:EsiZwwnMO (゚、゚トソン「ところで、昨日は結局プリントを受け取れませんでしたので、今提出してくれますか?」 (;^ω^)「おっ……」 そういえば昨日、いつの間にやら、手に持っていたプリントが無くなっていた。 恐らく逃げているときに落としたのだろう。 (;^ω^)「……無くしちゃいましたお」 正直にそう告げると、担任は呆れたように「探しておいてくださいね」と返した。 だが、思いの外、すぐにプリントは見付かった。 ブーンの机の中に、くしゃくしゃになったプリントの束が入れられていたのだ。 誰が入れたのか。 それは、プリントに何本も絡み付いていた長い黒髪を見ればすぐに分かることである。 おわり 373 :( ^ω^)迫るもののようです:2010/08/29(日) 01:35:13 ID:EsiZwwnMO ( ) i フッ |_| おしまいです。 お、オヤシロさまとかハイウェイスターじゃないんだからねっ! 374 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/08/29(日) 01:35:45 ID:Mzu4Nlnk0 乙 あ… 後味が… |
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